3月8日の金曜上映会〈YIDFF 2017 アンコール12:中国、インドネシア、当世検閲事情〉

今回の金曜上映会は、前回の「山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017」のコンペティション部門上映作品から選りすぐりをお送りするアンコール企画の第12弾です! アジア圏の作家および作品を対象とするコンペ部門「アジア千波万波」で、前回特別招待された『映画のない映画祭』、『カット』の2作品を上映します。映画表現に対する検閲の状況が、中国とインドネシアの事例からダイレクトに伝わります。ぜひご来場ください。

『映画のない映画祭』 14:00-、19:00-(2回上映)

『映画のない映画祭』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 アジア千波万波 特別招待作品

監督:王我(ワン・ウォ)/中国/2015/80分

作品紹介:

2014年、北京の映画祭が当局によって開催直前に中止させられた。映画は、村民と称する私服警官の妨害、映画祭事務局の家宅捜索、スタッフの事情聴取といった緊迫した状況を伝える。宋荘のアーティストらが家を開放し、集まった監督やゲストと私的上映会や議論を行う様子から、ソーシャルメディア上で目を閉じた写真を掲載し、映画祭への連帯を表明する「閉会式」まで、居合わせた多くの人の手によって撮影された映像を集め、事の顛末を記録した。

 

『映画のない映画祭』

監督のことば:

2014年8月、第11回北京インディペンデント映画祭(北京独立影像展)が当局によって強制的に中止させられました。この期間中、多くのゲスト、観客、ボランティアスタッフが現場でたくさんの資料映像を撮っていました。事件を記録すべく、そうした資料映像を集めて保存し、編集したのがこの作品です。北京独立影像展は中国国内でも数少ない、かつ重要な民間のインディペンデント映画祭でした。近年、中国の民間の映画祭は立て続けに中止に遭っており、この映画祭が中止となって、民間の映画祭は消えたに等しくなりました。インディペンデント映画の上映環境は、十数年前の状況に戻ったかのようです。どの角度から考えても、これは明らかな後退であり、そのため記録を残す必要がありました。この作品の映像音声素材はすべて観客、現地の芸術家、映画祭に参加していた監督やゲスト、スタッフ、ボランティア、さらに記者とメディアから提供されています。これは集団創作によって誕生した映画なのです。

王我

 

『カット』 16:00-(1回上映)

『カット』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 アジア千波万波 特別招待作品

監督:ハイルン・ニッサ/インドネシア/2016/64分

作品紹介:

2014年、検閲の過程をドキュメントする意図も含め『空を飛びたい盲目の豚』をインドネシアの検閲局に提出した監督(エドウィン)とプロデューサー。フィルムや書類の提出、委員らによる試写、会議、再提出のための変更事項、申し立て、委員や役人の持論といった内部の過程の記録と並行し、検閲制度に問いを発し続けているインディペンデント映画人らとの対話を通じて、インドネシアにおける映画製作と上映の現在を考える。

 

『カット』

監督のことば:

『カット』は人権のエレメントを取り上げた映画である。皮肉なのは、映画製作者が成長し、インドネシア人の問題について語ろうと奮起すると、映画検閲局から「不合格」とされ、拒絶に遭うということだ。

「自主検閲」なる映画検閲局の最新プログラムは、映画製作者だけでなくコミュニティや一般大衆も損失を被る状況をますます確たるものにしている。

映画検閲局という機関は、人類と国家の発展に伴い刷新されることがあるのだろうか。

ハイルン・ニッサ

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp