Yearly Archives: 2020
〈YIDFF 2019 アンコール 8:フレデリック・ワイズマンとアメリカ〉
●1月22日[金] 14:00、18:00(2回上映)
『インディアナ州モンロヴィア』
監督:フレデリック・ワイズマン/アメリカ/2018/143分
YIDFF 2019 インターナショナル・コンペティション審査員特別賞
◆2016年のアメリカ大統領選の結果を受けて、フレデリック・ワイズマンはインディアナ州の農業の町モンロヴィアを題材に選んだ。牧歌的な農場の風景から始まって、フリーメーソンのロッジからライオンズクラブ、高校、教会、銃砲店などを細やかに観察しながら、ワイズマンは昔ながらの価値観、生活様式を護り続ける“善きアメリカ人”の姿を浮かび上がらせる。町で起きた出来事、会合、催事を軽やかにスケッチすることで、町という社会の全体像が見えてくる。現代アメリカを支える無名の人々の実像がここにはある。
【監督のことば】
現代のアメリカ人の生活をめぐって取り組んできた連作に付け加えるのに、中西部の小さな農村を題材とする映画は格好のものと思われた。インディアナ州モンロヴィアは、その規模(住民は1,063人)、立地(これまで私は中西部の農村地域で撮影をしたことがない)、共同体内部で共有される文化的宗教的関心ゆえに、私の求めるものとピタリと一致していたのである。9週間の撮影の間、モンロヴィアの人々から友好的な助力を惜しまぬ歓迎を受けた私は、日常生活のあらゆる場面にアクセスすることが許されていた。アメリカ大陸の東西両岸に点在する大都市の生活についてのルポルタージュは定期的になされているが、私の興味はむしろ、アメリカの小さな町における生活についてもっと学び、そこで私が見たものを共有することにあったのだ。
【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に伴う対応について】
・定員に達した場合は、ご入場をお断りすることがございます。
・当日、受付でお名前、ご連絡先をご記入いただきます。この個人情報はこの目的以外には使用せず、30日間厳重に保管し、期間終了後は適切に廃棄します。
・マスクの着用、咳エチケットへのご協力をお願いします。 発熱など体調不良のある方はご来場をお控えください。
・ご入場前、ご退出後に会場の消毒、換気を行います。
※感染拡大状況によっては中止とする場合があります。遠方の方はご来場前に映画祭HPをご確認ください。
[会場]:山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー(ビッグウイング3F)
[料金]:無料(会員制)
[問い合わせ] : 023-666-4480(映画祭事務局) 023-635-3015(フィルムライブラリー)
〈YIDFF 2019 アンコール 7:ミコ・レベレザとアメリカ〉
●12月18日[金] 14:00、19:00(3作品2回上映)
『ドロガ!』
監督:ミコ・レベレザ/アメリカ、フィリピン/2014/8分
YIDFF 2017 アジア千波万波
http://www.yidff.jp/2017/cat041/17c061.html
◆ロサンゼルス。アメリカ文化とタガログ語が混ざり合うアメリカに住む、あるフィリピン人の存在証明。ズタズタになったホームビデオ、ノイズまみれの少年、タガログ語のリズム、ビデオに映る祖母の姿、繰り返される混沌のリズム……。Super 8mmに焼き付けられた監督の心のなかを覗き込んでみる。
『ディスインテグレーション93-96』
監督:ミコ・レベレザ/アメリカ、フィリピン/2017/6分
YIDFF 2017 アジア千波万波
http://www.yidff.jp/2017/cat041/17c061.html#t2
◆90年代にロサンゼルスに移り住んだ監督の家族の、当時のホームムービーから滲む不安と郷愁、そして今。フィリピンの親族に向けたビデオレターに収まるアメリカで「融合されない」存在が立ち現れる。ここで成長した監督が亡霊のように発するアメリカ英語と映像が重なり合い、映画となって、見る者へ向かって突進する。
『ノー・データ・プラン』
監督:ミコ・レベレザ/フィリピン、アメリカ/2018/70分
YIDFF 2019 アジア千波万波
http://www.yidff.jp/2019/cat037/19c054.html
◆「母さんは2つの電話を使っている」。母親を中心とした家族の物語を伏線に、複数のアメリカの声がかぶさっていく。監督の家族がいるカリフォルニアからNYの大学へ戻る間の列車に揺られながら、物理的でないどこかへ進む映画という旅。ID提示やICE(移民・関税執行局)に見つかることの恐れがつきまとう存在であると同時に、列車から一時下車して休む時の風景や人々の姿から、監督の目に映る「そうではない」アメリカの断片を見せてくれる。
【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に伴う対応について】
・定員に達した場合は、ご入場をお断りすることがございます。
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・ご入場前、ご退出後に会場の消毒、換気を行います。
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[会場]:山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー(ビッグウイング3F)
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YIDFF 2021プレ・イベント「山の恵みの映画たち2020」開催!
会期:2020年11月27日(金)〜29日(日)
会場:フォーラム山形(山形市香澄町)
山や自然と人とのつながりをテーマにした特集上映企画、「山の恵みの映画たち」。2014年に始まり今回で4回目を迎えます。自然豊かな山形にちなんだ名作を、山形国際ドキュメンタリー映画祭スタッフと市民有志が協同でセレクト。期間中は映画の上映のみならず、制作者や作品テーマに関連した専門家によるゲストトークも行われます(一部オンラインの可能性あり)。
山形国際ドキュメンタリー映画祭2021のプレ・イベントとして行われる今回は、日本人隊初のK2登頂を記録した臨場感溢れる山岳ドキュメンタリー『白き氷河の果てに』、山形国際ドキュメンタリー映画祭2019アジア千波万波部門で上映され話題となった『山の医療団』、故・宮田八郎監督が北アルプスを写した渾身の作『星々の記憶 in the time and light of Hodaka』、スイスの巨匠フレディ・M・ムーラーによる伝説的な”山”三部作(『山の焚火』『我ら山びとたち』『緑の山』/「マウンテン・トリロジー」として全国公開中)など、山と人とのつながりを立体的に映し出す名作群が一堂に会します。
また、登山家・冠松次郎を案内役に戦前の黒部峡谷の姿を収めた貴重な記録映画『黒部峡谷探検』(国立映画アーカイブ所蔵)にバイオリン生演奏を付けての上映、岡本忠成によるストップモーション・アニメーションの古典的傑作『おこんじょうるり』と童話「ごんぎつね」を現代的な感性で蘇らせた『劇場版 ごん – GON, THE LITTLE FOX –』の2本立て上映など、上映の形態や組み合わせにも特色があるプログラムとなりました。
今年もたわわに実った「山の恵みの映画たち」を、どうぞスクリーンでお楽しみください!
スケジュール
●11月27日[金]
10:00 『僕は猟師になった』監督:川原愛子/ナレーション:池松壮亮/日本 /2020/99分
19:30 『地球交響曲第三番』監督:龍村仁/日本/1997/150分
●11月28日[土]
10:00 『僕は猟師になった』監督:川原愛子/ナレーション:池松壮亮/日本 /2020/99分
ゲストトーク 田口洋美(狩猟文化研究家)
13:00 『山の医療団』監督:ジジ・ベラルディ/ビルマ、ヴェトナム、タイ /2019/65分
『Mount Zao(蔵王山)』監督:塚本閤治/日本/1935/12分/サイレント
『黒部峡谷探検』撮影:白井茂/日本/1927/24分/サイレント ※バイオリン生伴奏:鈴木崇(作曲家)
15:15 『白き氷河の果てに』監督:門田龍太郎/日本/1978/123分
ゲストトーク 飯澤政人(登山家)
18:30 『我ら山人たち』 監督:フレディ・M・ムーラー/スイス/1974/108分
20:45 『緑の山』監督・原案:フレディ・M・ムーラー/スイス/1990/128分
●11月29日[日]
10:00 『僕は猟師になった』監督:川原愛子/ナレーション:池松壮亮/日本 /2020/99分
13:00 『小屋番 涸沢ヒュッテの四季』監督:伊勢真一/撮影:宮田八郎ほか/日本/2013/69分
『星々の記憶 in the time and light of Hodaka』監督・撮影:宮田八郎/ 日本/2017/40分
ゲストトーク 伊勢真一(『小屋番』監督)
16:00 『劇場版 ごん – GON, THE LITTLE FOX –』監督:八代健志/日本/2019/28分
『おこんじょうるり』監督:岡本忠成/婆さまの声:長岡輝子/日本 /1982/25分
17:30 『粘菌 / はじまりの知性』監督:ティム・ グラバム、ジャスパー・シャープ/イギリス/2014/81分
ゲストトーク 川上新一(粘菌研究家)
20:00 『山の焚火』監督・脚本:フレディ・M・ムーラー/スイス/1985/117分
※『僕は猟師になった』は11月28日[金]~12月3日[木] 連日10時から上映です(11月30日以降も「山の恵みの映画たち」前売り券がご使用いただけます)。28日[土]の回には上映後にゲストトークが予定されています。
【トークゲスト】
田口洋美:狩猟文化研究者。東北芸術工科大学教授。
飯澤政人:登山家。山形県人として初めてK2に登頂した。山岳写真家としても活躍。
伊勢真一:映画監督。最新作『えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤 滋』が令和2年度文化庁・文化記録映画優秀賞受賞。
川上新一:粘菌研究家。和歌山県立自然博物館学芸員を務める。
【前売り券(発売中)】
料金:1回券1,100円/4枚つづり3,600円/8枚つづり6,400円
取扱:フォーラム山形、ソラリス、フォーラム東根、フォーラム仙台、八文字屋(本店、北店)、こまつ書店(寿町本店、桜田店、西田店、鈴川店)、NPO法人甑葉プラザネット(村山市甑葉プラザ内)、山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー
※4枚・8枚つづりは切り離して複数人で使用できます
※当日券はフォーラム山形の通常料金体系に準じます
【関連上映】
●11月13日[金]-19日[木]『アイヌモシリ』
●12月4日[金]-10日[木]『プラスチックの海』
会場:フォーラム山形(上記2作品には「山の恵みの映画たち2020」前売り券はご利用いただけません。劇場料金に準じます)
●11月13日[金]金曜上映会特別版『ローカル魂 朝日連峰大縦走 原始の山を行く』
会場:やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)3F スタジオ2(無料、要申し込み)
●11月20日[金] 金曜上映会 『アルプス・バラード』
会場:山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室(無料、申し込み不要)
主催:「山の恵みの映画たち」上映実行委員会
主幹:認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
協力:国立映画アーカイブ
後援:山形市創造都市推進協議会
山の恵みの映画たち:アルプス・バラード
●11月20日[金]14:00、19:00(2回上映)
『アルプス・バラード』
監督:エリッヒ・ラングヤール/スイス /1996/35mm/100分
YIDFF ’97 インターナショナル・コンペティション
◆エリッヒ・ラングヤールは現代の酪農の日常生活を描写する―近代社会の制約により危機にさらされた生活、商業主義、市場経済、最大限の利益効率、株主的価値観、天然資源の搾取、それに環境破壊に追い詰められつつある生活だ。
映画作家は高度に視覚的な感性と感受性で農場の日々の生活の日常的で些細なディテールを見つめる―豚に餌をやり、チーズを作り、牛の乳をしぼり、肥やしを蒔く、あるいは冬になると材木を削る。
しかし、ラングヤールは酪農技術やそのクリシェを説明しようとしているわけでも、今日の酪農農民の抱える差し迫った問題を分析しようとしているわけでもない。あるいはアルプス山中の生活を美化しているわけでもない。彼はむしろ“存在すること”の価値に心を向けているように思える―いまだ人間がそのアイデンティティと尊厳を保持することができる世界のなかに、人間がまだその尊敬し、愛する自然の一部でいられる場所に存在すること。
映画のなかには言葉は、台詞はほとんどない。カメラはただゆっくりとだけ動く。風景は息を呑む色彩のなかに広がる。彼の眼(そのカメラ)はとりたてて意味のないように見える細部の上にとどまり、詩的で官能的なイメージが立ち現われる。言葉や説明は表面的だ。この映画のゆったりとしたテンポと威厳は、観客に心を自由に漂わせ、自身の立場に反映させ、瞑想することのできる心理的な空間を与えるのだ。
(レグラ・ケーニヒ)
http://www.yidff.jp/97/cat009/97c012.html
「山の恵みの映画たち2020」関連上映
【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に伴う対応について】
・定員に達した場合は、ご入場をお断りすることがございます。
・当日、受付でお名前、ご連絡先をご記入いただきます。施設から感染者が確認された場合、保健所へ情報提供をする場合がありますので、施設管理者 の一般財団法人 山形コンベンションビューローと共有いたします。この個人情報はこの目的以外には使用せず、30日間厳重に保管し、期間終了後は適切に廃棄します。
・マスクの着用、咳エチケットへのご協力をお願いします。 発熱など体調不良のある方はご来場をお控えください。
・ご入場前、ご退出後に会場の消毒、換気を行います。
※感染拡大状況によっては中止とする場合があります。遠方の方はご来場前に映画祭HPをご確認ください。
[会場]:山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー(ビッグウイング3F)
[料金]:無料(会員制)
[問い合わせ] : 023-666-4480(映画祭事務局) 023-635-3015(フィルムライブラリー)
〈YIDFF 2019 アンコール 6:この屋根の下〉
●10月23日[金]14:00、19:00(2回上映)
『ここへ来た道』
監督:張齊育(テオ・チーユー)/シンガポール /2019/Blu-ray/29分
YIDFF 2019 アジア千波万波
【作品紹介】
幼い頃に中国を離れ、シンガポールに渡って来た監督の祖父。やがてこの地で家庭を持ち、電器店を営むようになっても、故郷・西安に残した家族を忘れることはなかった。がんが見つかり余命6ヶ月を宣告されたいま、朝が来れば店を開く生活のリズムを繰り返しながら、穏やかに最期の時を迎えようとしている。孫娘の持つカメラは、口数の少ない祖父の望郷の想いを優しくすくい上げ、〈この家〉の奥に眠る〈もう一つの家〉の記憶の扉を開く。
http://www.yidff.jp/2019/cat037/19c056.html
『駆け込み小屋』
監督:蘇育賢(スー・ユーシェン)/台湾/2018/Blu-ray/54分
YIDFF 2019 アジア千波万波
【作品紹介】
台湾の某所にある、廃材で作られた粗末な小屋。インドネシア人労働者がやってきては自己紹介をし、過酷な労働環境やこの小屋へと逃げ込んだ経緯など、車座になって互いに話を聞く。話が終わらないうちに、ひとり、またひとりとやってくる労働者。いつしか小屋は人で溢れ、対話は通過する飛行機の音をBGMに渦を巻き、拍手、乾杯、泣き声が弾け、爆発寸前に……。多様な背景を持つ出稼ぎ労働者のワークショップから生まれた作品。
http://www.yidff.jp/2019/cat037/19c057.html
【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に伴う対応について】
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※感染拡大状況によっては中止とする場合があります。遠方の方はご来場前に映画祭HPをご確認ください。
[会場]:山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー(ビッグウイング3F)
[料金]:無料(会員制)
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令和2年度やまがた市民映画学校 × 野外上映会 『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』
おとなも子どもも楽しめる珠玉のアニメーションを、山形市立第一小学校中庭(山形まなび館南面)にて上映します。ご家族やご友人とのひと夏の思い出に、星空の下で映画鑑賞はいかがでしょうか。
お申し込みはこちら:
野外上映会『ロングウェイ・ノース』申し込みフォーム
〈YIDFF 2019 アンコール 5:別離〉
●9月25日[金]14:00、19:00(2回上映)
『別離』
監督:エクタ・ミッタル/インド/2018/Blu-ray/80分
YIDFF 2019 インターナショナル・コンペティション
【作品紹介】
インド郊外の農村では、移住労働者として都市部に出かけ、そのまま消息を絶ってしまう男たちが少なからずいるという。残された妻や母は、行方不明者の面影を求めて尽きない思いを巡らせる。パンジャーブ語のスーフィー詩に着想を得た本作は、原題Birha(別離による悲しみ)が示すように、愛する誰かがここにいないことについての映画であり、あらゆる不在のイメージが重層的に描かれる。底辺に生きる人々が貧困から逃れられない限り、女たちの悲嘆もまた、深い霧のように決して晴れることはない。幻想的な空間のなかでインドの過酷な現実が浮かび上がる。
【監督のことば】
『別離』は、2009年に構想された合作映画プロジェクト「Behind the Tin Sheets」の続きとなるものである。都市における移民労働者の意識下に焦点を当てたこの企画を通し、労働者たちと親交を深めた私は、その後、遠く離れたインドの村にいる彼らの家族の下へと導かれた。この映画は、以前の映画が終わる地点――雨のなか、故郷へ深く思いを馳せるところ――から始まっている。これは、私自身の家族と、行方の知れない叔父との間の不完全な会話を思弁する、個人的な映画なのだ。
この映画に登場するのはみな、地下鉄建設中のバンガロールで私が出会った労働者たちと関わりのある人たちである。村あるいは都市から出発した点は、次第に互いの関係を絶つ方へとシフトする。都市での生を嗅ぎつけると、異なるアイデンティティが空想と思慕に満ちた形で生じてくる。日常はやがて、どうということのない生活の繰り返しとなる。故郷の人たちはひたすら待ち、変化と違いに反応するが、こちらも時がたつにつれて忘れることを覚え、抵抗は静かになる。人が儚さについて思いを巡らすのは、おそらくこうした沈黙においてだろう。私は、イスラム神秘主義の詩人が書いた「birha」の詩におけるそれとも似た切なる想いを、日常的な実践のように習得した。英語には「birha」に当たる言葉がない。それは、形而上学的なレベルで、メタファーの次元で感知されるほかないのである。
生のリズムが、しばしばデジタル技術や、過剰に視覚にあふれた環境によって定められるのとは対照的に、この映画は観客を内面へと誘い、映画自身を人間の感情と対峙させる。「birha」の詩と労働者たちの内面世界――それはより広く、私たちがあらゆる矛盾とともに暮らすこの物質世界とも関わっている――に根差したこの映画が望むのは、普段なら踏むのも恐れるような安定しない未知の土地を前提とした、何らかの官能的な体験を呼び覚ますことである。人は、悪夢や抑圧された感情や、執拗に残る信仰といった体験に幾度も干渉されながら生きなければならない。人に取り憑いた感情は、いつだって回帰してくるのである。
○YIDFF作品ページ
http://www.yidff.jp/2019/cat009/19c011.html
○監督インタビュー
http://www.yidff.jp/interviews/2019/19i011.html
【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に伴う対応について】
・座席数を半数の20席に制限いたします。間隔をあけてご着席ください。
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・マスクの着用、咳エチケットへのご協力をお願いします。 発熱など体調不良のある方はご来場をお控えください。
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※感染拡大状況によっては中止とする場合があります。遠方の方はご来場前に映画祭HPをご確認ください。
[会場]:山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー(ビッグウイング3F)
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〈YIDFF 2019 アンコール 4:村に生きる〉
●8月21日[金]14:00、19:00(2回上映)
『ハルコ村』
監督:サミ・メルメール、ヒンドゥ・ベンシュクロン/カナダ /2018/Bru-ray/100分YIDFF 2019 アジア千波万波 奨励賞 (日英字幕つき)
【作品紹介】
監督の故郷アナトリアのクルドの村の男たちは、欧州で働き生活している。家を守る女たちは、十分な仕送りができなかったり、音信不通になったりしながらも、彼らの身を案じる。仕事の傍ら、楽ではない村の生活の愚痴を言いながら、常に話題に上るのは、やはり出稼ぎ中の父や夫のこと。そこへ監督の叔父が7年ぶりに、妻と成長した娘の元に一時帰国を果たし……。ハレの日の結婚式、あれこれ話す女たちの日常の裏には、大家族の喜怒哀楽が詰まっている。
【監督のことば】
私はハルコ村に生まれ、17歳になるまでそこで暮らした。兄弟、姉妹、母、そして私は、ヨーロッパへ出稼ぎに行った父が帰るのを、ただひたすら待ち続けた。結婚の「季節」の夏になると、父はたまに帰ってくることもある。そして何週間か私たちと一緒に過ごし、また去って行った。とはいえ、たとえ父がいなくても、私たち家族は日々の暮らしに小さな幸せを見つける方法を知っていた。カリスマ性を持つ強い母が家族をひとつにまとめ、そして移り変わる季節の中で私たちの生活は続いていった。学校、休暇、村の子どもたちとの遊び、家の仕事。それだけでなく、家畜の世話、吹き荒れる風と砂、雪に覆われる冬もある。
そして知らせがやってきた。父が心臓発作で死んだという。他のクルド難民と一緒に、スイスとオーストリアの国境を密かに越えようとしていたときのことだった。父はもう二度とハルコに帰ってこなかった。そして1年がたち、今度は私が留学のために村を離れることになった。
北米に行ってから10年後、私は初めて村に戻った。3000戸ほどある家の半数は空き家になっていた。残っているのは主に女性と子どもだ。波風から村を守り、村の活気を保ち続けようと力を尽くす彼らの姿に、私は感銘を受けた。
村に戻り、私の記憶が呼び覚まされた。記憶がこの映画の触媒だ。この村が完全にうち捨てられる前にその暮らしを記録し、村を守り続けた人たちを讃えなければならないという強い思いに駆られ、私はこの映画を作った。 (サミ・メルメール)
○YIDFF作品ページ:
http://www.yidff.jp/2019/nac/19nac21.html
○監督インタビュー:
http://www.yidff.jp/interviews/2019/19i040.html
【新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に伴う対応について】
・座席数を半数の20席に制限いたします。間隔をあけてご着席ください。
・定員に達した場合は、ご入場をお断りすることがございます。
・当日、受付でお名前、ご連絡先をご記入いただきます。施設から感染者が 確認された場合、保健所へ情報提供をする場合がありますので、施設管理者 の一般財団法人 山形コンベンションビューローと共有いたします。この個人情報はこの目的以外には使用せず、30日間厳重に保管し、期間終了後は適 切に廃棄します。
・マスクの着用、咳エチケットへのご協力をお願いします。 発熱など体調 不良のある方はご来場をお控えください。
・ご入場前、ご退出後に会場の消毒、換気を行います。
※感染拡大状況によっては中止とする場合があります。遠方の方はご来場前 に映画祭HPをご確認ください。
[会場]:山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー(ビッグウイング3F)
[料金]:無料(会員制)
[問い合わせ] : 023-666-4480(映画祭事務局) 023-635-3015(フィルムライブラリー)
再開!金曜上映会
4月から中止していた金曜上映会が、いよいよ7月から再開となります!
上映作品は、昨年の映画祭で日本中の映画ファンを虜にした『光に生きる ― ロビー・ミューラー』。
-
●7月17日[金]…〈YIDFF 2019 アンコール 3:光に生きる〉
14:00、19:00(2回上映)
『光に生きる ― ロビー・ミューラー』
監督:クレア・パイマン/オランダ/2018/86分
YIDFF 2019 インターナショナル・コンペティション
[作品紹介]
ヴィム・ヴェンダースやジム・ジャームッシュの映画のカメラマンとして知られるロビー・ミューラー(1940-2018)の生涯とその仕事を辿る。『都会のアリス』や『ダウン・バイ・ロー』などの名高いショットの回顧とともに、本作はミューラーが家庭用ビデオやポラロイドカメラなどで撮影していたプライヴェートな映像を掘り起こす。家族との時間や滞在したホテルといった日常の中の光景を捉えたそのまなざしが、彼の人生と映画が地続きだったことを語ってくれる。誰もが簡単に映像を撮影できる時代にこそ観られるべき映画である。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に伴う対応について
- 座席数を半数の20席に制限いたします。間隔をあけてご着席ください。定員に達した場合は、ご入場をお断りすることがございます。
- 当日、受付でお名前、ご連絡先をご記入いただきます。施設から感染者が確認された場合、保健所へ情報提供をする場合がありますので、施設管理者の一般財団法人 山形コンベンションビューローと共有いたします。この個人情報はこの目的以外には使用せず、30日間厳重に保管し、期間終了後は適切に廃棄します。
- マスクの着用、咳エチケットへのご協力をお願いします。
- 発熱など体調不良のある方はご来場をお控えください。
- ご入場前、ご退出後に会場の消毒、換気を行います。
監督インタビューはこちら:
http://www.yidff.jp/interviews/2019/19i017.html
[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp
5月15日に予定されていた金曜上映会〈YIDFF 2019 アンコール 4:村に生きる〉は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のため中止となりました。
4月24日に予定されていた〈YIDFF 2019 アンコール 3:光に生きる〉も中止となります。
楽しみにされていた方には申し訳ございませんが、ご理解とご協力をお願いいたします。
上映会中止のお知らせ
4月24日に予定されていた金曜上映会〈YIDFF 2019 アンコール 3:光に生きる〉は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止のため中止となりました。
楽しみにされていた方には申し訳ございませんが、ご理解とご協力をお願いいたします。
なお、5月以降の上映会については開催の可否が決まり次第お知らせいたします。
毎年恒例の「山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー 子どもの映画教室」も10回目となりました。小・中学生を対象に、映画のうら側を探検したり、映画をつくるワークショップをしたりしています。
今回は手作りのアニメーション映写機「くるくるゲントウキ」をつくります。今回は前回の映画教室版に改良を加えた2号機をつくってみますが、どうなることやら。
いつもは静かなフィルムライブラリーも今日は子どもたちで賑わいます。
昨年10月の山形国際ドキュメンタリー映画祭2019の寄せ書きが飾られています。どこの国の言葉で書かれているんだろう?
ゼンマイ式の古い16mmカメラや8ミリカメラも飾ってあります。
小さな窓から覗く世界はわくわくするよね。そうでもない?
映画用の35mmフィルム。とても重いね。これを何巻もつないで1本の映画を上映します。
スクリーンをよく見てみよう。白くないね。小さな穴はなんだろう。
映写機。でかいぜ。上にはフィルムがかかっています。
映写機をまわしてみます。すごい音がする。ちゃんと映った?
フィルムには小さな写真(絵)が並んでいます。縦に並んだパラパラマンガ。映写機はパラパラマンガめくり機にランプとレンズがついているんだね。
では映写機を作ってみましょう。
材料はスーパーでもらったダンボール、100円ショップで買ったルーペ、懐中電灯、ミシンのボビン、割り箸、手芸用のプラバン、などなど…。こんなもので映写機ができるの?
フィルムに絵を描いていきます。10コマの映画です。
試写室に戻って、いよいよ映写です。
あれ?ピントが難しいなあ。ちょっと暗いかなあ…。
リンゴかな? ドラゴンもいる? 海から陸への生物の進化を10コマで!?
※非常に弱い光での上映でしたので、うまく撮影できませんでした。ごめんなさい!
参加者の感想より。
「テレビでは見たことがあったけど、まぢかで見たことが無いのもありおどろいた」(小6)
「身近なところにあるもので作れてすごかったです。」(小3)
「えいがをつくるどうぐをくみたてたのがすごくたのしかった」(小1)
「えいぞうをつくったのがたのしかった」(小3)
「スクリーンにうつすのに、あんなに手間がかかるとは思わなかった」(小5)
「つくるのたのしかった」(年少)
「くるくるゲントウキ」はもうちょっと改良の余地ありでしたが、楽しい時間になったようで何よりです。
お家ではもっとハッキリ映せるといいなあ。
「こうするともっと良く映るんじゃない?」といろいろ考えてアドバイスしてくれた子もいたので、次はがんばります。
ご参加ありがとうございました。残念ながら参加できなかった方も、次回は是非。お待ちしています。
ミドリのおじさんより
前回(第9回)の子どもの映画教室
(文責:山形映画祭事務局)