見どころ
本特集は、2011年3月11日の東日本大震災から生まれた作品を取り上げるプログラムの4回目。記憶の風化と変化への慣れに抗い続けると同時に、この出来事がドキュメンタリーの現在になにをもたらしつつあるのかを問い始めたいとも考えています。
また今回は、カンボジアのボパナ視聴覚リソースセンターとの連携による映像アーカイブを通じた記録と継承の問題についても取り上げます。
上映会場:山形美術館2
上映作品
FUKUSHIMA: The silent voices
佐藤千穂、ルカ・リュ/フランス/2017年/日本語・フランス語/カラー/デジタル/58分監督、関係者質疑応答あり
Life 生きてゆく
笠井千晶/日本/2017年/日本語/カラー/デジタル/115分
監督、関係者質疑応答あり
被ばく牛と生きる (インターナショナル版)
松原保/日本/2016年/日本語/カラー/デジタル/98分
監督、関係者質疑応答あり
小国春熊猟2016
我妻和樹/日本/2014年/日本語/カラー/デジタル/135分
監督、関係者質疑応答あり
(IC『願いと揺らぎ』の前日譚。「ともにある2013」で上映した『波伝谷に生きる人びと—第1部—』の劇場公開版)
関連ディスカッション【入場無料】
(1)テレビ・ドキュメンタリーの現場から東日本大震災を考える
東日本大震災をめぐるドキュメンタリーにおいて、テレビの取り組みを無視することはできないはずだが、一人ひとりの作り手はなかなか顔を出さない。被災地のローカルテレビ関係者を中心に立ち上がった勉強会「みちドキの会」の進行のもと、個人の作家とは別の立場で震災に向き合ってきたテレビの制作現場と観客/視聴者が膝詰めで語り合う。
(2)東日本大震災はドキュメンタリー映画になにをもたらしたか
東日本大震災をめぐり数多くのドキュメンタリー映画が撮られている。震災直後の2011年に「映画になにができるか」という思いからはじまった本特集が4回目を迎えた今、しばしその問いを反転させ「震災が映画になにをもたらしたのか」を考える。私たちは東北を新たに発見したのか、未だカメラに写らないものがあるのか、はたまた、新たな表現者を生み出したのか。
○ボパナ視聴覚リソースセンターとの連携企画「アーカイブをめぐる対話」
(上映作品➀)『レッド・ウェディング』 ※監督来日なし
チャン・リダ、ギヨーム・スウォン/カンボジア、フランス/2012/カンボジア語/カラー/デジタル/58分
(上映作品➁)『どこに行く』 ※監督来日なし
ニアン・カヴィッチ/カンボジア・フランス/2012/カンボジア語/カラー/デジタル/55分
ディスカッション
映像アーカイブと学び——カンボジア・ボパナ視聴覚リソースセンターの取り組みを例に
東日本大震災という未曾有の災害は、多くの命を奪うとともに、さまざまな記録と教訓の継承について私たちに問いを投げかけることにもなっている。そこで、種類は違うが内戦という大きな厄災とそれにより失われた人命・記憶をどのように残し継承するかに取り組むカンボジアのボパナセンターに学ぶ。