金曜上映会って、なに?
「金曜上映会」は、山形国際ドキュメンタリー映画祭が主催する定期上映会です。ひと月に2回(第2、第4金曜の場合が多いです)、「山形ドキュメンタリー・フィルムライブラリー」にある試写室(40席)を会場にして開催しています。山形国際ドキュメンタリー映画祭のインターナショナル・コンペティション、アジア千波万波の上映作品など、ライブラリー収蔵作品はもちろん、戦前の無声映画、映画史に残る名作、自主製作作品や、実験映画、アニメーションなど、普段映画館やテレビ・ネットなどではなかなか見る機会が少ない作品を中心に上映しています。会員制になっていて、ご鑑賞いただく皆さんは「金曜上映会鑑賞会」にご入会いただくことになります。入会は無料です。もちろん上映会当日にも入会できますので、お気軽に足をお運びください。
11月24日[金] 〈人生は舞台だ〉
今回は〈人生は舞台だ〉と題して、90年代の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された作品を2本上映します。
『テキサス・テナー:イリノイ・ジャケー・ストーリー』 14:00- 19:00-(2回上映)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’93 インターナショナル・コンペティション上映作品
監督:アーサー・エルゴート/アメリカ/1991-2/35mm/81分
作品紹介:
『テキサス・テナー:イリノイ・ジャケー・ストーリー』は、音楽という表現に分け入った作品である。40年代から活躍を始めたサキソフォン・プレイヤー、イリノイ・ジャケーの軌跡を辿りながら、あくまでその演奏にこだわっていく。クローズアップを多様した印象的なブラック&ホワイトの映像から導き出される、スタイリッシュな雰囲気。監督アーサー・エルゴートは、その写真家として培った映像感性を存分に活かしながら、ジャケットをひたすら称えていく。
「私は、夢を追いかけるアメリカ人についての作品を作りたかった」
シャネルやディオール、カール・ラガーフェルドなどのファッション写真を中心に、風景、AIDSキャンペーン・フォトまで、幅広い活躍を続けるエルゴートは、アメリカの英雄をモチーフに、映画という形でさまざまなジャンルの“伝記”をめざしている。この作品はそのシリーズの第一陣となる。
撮影は、88年から90年にかけて行われた。晩年のジャケーの日常生活、公演を切り取りながら、アメリカ文化としてのジャズ史を浮かび上がらせようとの趣き。彼の人となりを語るライオネル・ハンプトン、ディジー・ガレスビー、ソニー・ロリンズなど、ジャズの巨人たちの登場に感動しつつ、エルゴートは穏やかにこうした先達たちを記録する。撮影のモルテン・サンドトローン(ノルウェイ出身)共々、素直にジャズを映像とした。これはシンプルな音楽の映画である。
(YIDFF ’93 公式カタログ作品解説より)
『ハイウェイ』 15:45-(1回上映)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’99 インターナショナル・コンペティション上映作品
監督・編集:セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ/フランス、ドイツ/1999/35mm/54分
作品紹介:
『パラダイス』や、台湾ドキュメンタリー映画祭で審査員特別賞を受賞した『パンの日』など、ユニークな作品で知られるセルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督作品。中央アジアとモスクワを結ぶハイウェイを、古いバスで旅する大道芸人の家族を描いた作品である。両親と1歳から16歳まで6人の子供からなるタジバジェフ一家は、カザフスタンのステップ地帯を走りながら、ハイウェイ沿いの村や集落で、長男が32キロの鉄玉を口に吊り下げたり、幼い子供がガラスの破片の上を歩いたりする大道芸を見せて生計を立てている。
そんな一家の日常的な営みーある時は少ない観客を前に芸をしたり、ある時は道端にいる幼い鷲を捕まえたり、またある時は食事や休息をとったりーを、カメラは淡々と撮っていく。そこにあるのは、中央アジア独特の時間の流れと空間の連なりであり、そのユニークな描写によって示されるのは、ソ連崩壊後の厳しい社会変動があろうとなかろうと、生活の営みが厳然と存在するという確かな証ともいえる。
(YIDFF ’99 公式カタログ作品解説より)