12月21日の金曜上映会〈小川紳介監督と学生運動〉
2018年最後の金曜上映会です。毎年必ず1回は開催している小川紳介監督作品上映。今回は「学生運動」という観点から初期作品『青年の海—四人の通信教育生たち—』と『現認報告書 羽田闘争の記録』を上映します。2本続けての上映となります。ぜひ足をお運びください!
14:00-、18:30-(2作品2回上映)
『青年の海 —四人の通信教育生たち—』
監督:小川紳介/1966/56分
作品紹介:
小川紳介監督第1作。文部省による大学通信教育制度の改訂を巡り、反対闘争に立ち上がった4人のリーダーたち。その闘争の中で、「働きながら学ぶことは素晴らしい」という美名が果たして本当なのか、なぜそこまで苦労してまで学ばなければならないのか、と自分たちの生き方そのものを見つめることを余儀なくされる。青年たちの迷い、そして悩みながらも闘いに乗り出す彼らを、小川は追い続ける。悩みながらも決して留まることのない4人に共鳴して、カメラまでもが走り始める。4人の青年とスタッフの、2つの青春の在り方が奇跡のように解け合う、真の意味での「青春映画」。
『現認報告書 羽田闘争の記録』
監督:小川紳介/1967/58分
作品紹介:
小川プロが初めて成田空港建設反対運動を描いた『日本解放戦線・三里塚の夏』(1968)製作の前年、日本は「第一次羽田闘争」に揺れていた。10月8日、羽田空港から南ベトナムに出発しようとする佐藤栄作首相を阻止しようと、ベトナム戦争に反対する新左翼の学生2500人(警視庁発表)がヘルメットをかぶりゲバ棒をもって集結する。石と火炎瓶が飛び交い、放水車と装甲車が出動するさなか、機動隊との衝突で京大生の山崎博昭が死亡。
本作『現認報告書』は、学生が乗っ取った装甲車に轢かれたという当局発表に対し、遺体解剖の細かい分析、手作りの模型や写真を使った解説、目撃者の証言を積み上げ、実際は機動隊の警棒による撲殺であったと検証する。さらにカメラは、一ヶ月後の「第二次羽田闘争」における逮捕者や負傷者の支援活動の様子を、我が子を捜す親の声とともに映し出す。渦中の学生たちの生の言葉がダイレクトに響く。作品には、黒木和雄、土本典昭、東陽一のほか、撮影に鈴木達夫、大津幸四郎、田村正毅が参加した。
小川紳介
1936年、東京生まれ。岩波映画製作所を経て、1964年、フリーになる。監督第1作『青年の海』(1966)や『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』(1967)などを自主制作。全共闘運動の盛り上がりのなか、全国の大学、職域などで支持を得る。1968年、小川プロダクションを旗揚げし、成田空港建設反対運動を描く「三里塚」シリーズ7作に没頭。農民の側に立って映画を作り続けた。1974年、山形県上山市牧野に移り住み、米作りをしながら農村を見続け、『ニッポン国古屋敷村』(1982)と『1000年刻みの日時計 ― 牧野村物語』(1986)を発表。1989年のYIDFF発足の準備委員として奔走、映画祭を成功に導いた。1992年2月7日逝去。
[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp