2月8日の金曜上映会〈YIDFF 2017 アンコール11:アメリカ〉

今回の金曜上映会は、前回の「山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017」から選りすぐりの作品を上映するアンコール企画の第11弾です! 外から見た〈アメリカ〉をテーマに、前回のアジア千波万波で上映した『ドロガ!』、『ディスインテグレーション93—96』、そして1993年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別招待を受けた『イマジニング・インディアン』を上映します。短編作品を2作含みますので、3作品続けての上映となります。お見逃しなく!

14:00-、19:00-(3作品2回上映)

『ドロガ!』

『ドロガ!』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 アジア千波万波 上映作品

監督:ミコ・レベレザ/アメリカ、フィリピン/2014/8分

作品紹介:

ロサンゼルス。アメリカ文化とタガログ語が混ざり合うアメリカに住む、あるフィリピン人の存在証明。ズタズタになったホームビデオ、ノイズまみれの少年、タガログ語のリズム、ビデオに映る祖母の姿、繰り返される混沌のリズム……。Super 8mmに焼き付けられた監督の心のなかを覗き込んでみる。

監督のことば:

私にとってこの映画は、多くの意味において、ポストコロニアルの時代に生きるフィリピン系アメリカ人というアイデンティティと向き合った最初の作品だ。マニラに拠点を置く実験映画作家のコミュニティの影響を受けた映画でもある。彼らとはマニラ時代に知り合い、現在も親しい友人として、そしてコラボレーターとして親交を深めている。

本作は、アーティスト・イン・レジデンスとして「エコー・パーク・フィルム・センター」滞在中に、Super 8mmで撮影した。

『ディスインテグレーション93—96』

『ディスインテグレーション93—96』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 アジア千波万波 上映作品

監督:ミコ・レベレザ/アメリカ、フィリピン/2017/6分

作品紹介:

90年代にロサンゼルスに移り住んだ監督の家族の、当時のホームムービーから滲む不安と郷愁、そして今。フィリピンの親族に向けたビデオレターに収まるアメリカで「融合されない」存在が立ち現れる。ここで成長した監督が亡霊のように発するアメリカ英語と映像が重なり合い、映画となって、見る者へ向かって突進する。

 

『ディスインテグレーション93—96』

監督のことば:

アメリカで不法移民として生きるのは、ひとつのパフォーマンスである。

今の私は、このパフォーマンスに疲れ果てている。。

 

『ディスインテグレーション93—96』

『イマジニング・インディアン』

『イマジニング・インディアン』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’93 特別招待作品

監督:ヴィクター・マサエスヴァ/アメリカ/1992/79分

作品紹介:

ここ何年もの間、アメリカ先住民のオブジェや彫刻、儀式といったものは、それらが太古の昔にもっていた聖なる価値を失ってしまっていると言われている。先住民をモチーフにしたあらゆるものが商品化され、外部に流布していく。この作品は、先住民神話が商品になるとき起きる問題に焦点を当てている。

監督のことば:

アメリカ中のどこのアメリカ先住民の居住地のどこにでもある「撮影禁止! 録音禁止! スケッチ禁止!」という、標識を見るたびに、私たちは、映画作家あるいは写真家としての立場でどの程度まで尊重するかを考える。車を運転中に時速制限、あるいは何々注意、などの標識と同じように考える;見ないわけだ。

私は、アメリカ先住民居住地の共同体が「撮影禁止」と言っているのなら、彼らは本当に写真撮影を禁じているのであって、その標識の効力を我々自身で勝手に判断することは、共同体の決定を踏みにじることだ、と思う。私たちによれば、例えば神聖なものと神聖でないものを区別すれば、神聖でないものとは許可されうるものである、つまり神聖でないものなら撮影しても構わない、となる。映画作家という連中はこうして相手をケムに巻くので評判が悪い。標識はこういう屁理屈を無視している。「禁止」といえば「禁止」なのだ。

この現状の中で、私たちは仕事をさせてもらっている地域の共同体に対して責任があるし、その禁止罰則には従うべきだと信じる。私たちのように長期にわたってアメリカ先住民の共同体の中で仕事をし、また生活しているものであれば、その規範罰則をどこまで守るべきかは、公の場で注意されたり、個人的に言われたり、場合によってはその両方で知らされたりすることを通じて、わかっているはずなのだ。

私は自分の仕事を信じているし、何事にも責任を持つつもりでいるし、私の家族、一族、それに子孫たちを、彼らにしてみればいやいやながらでも、巻き添えにする覚悟もある。部族の歌は呼び起こされ、形を取り戻し、部族総がかりで演じられるべきであり、私はそれを記録することに信念をもっているからだ。もしそれが部族の悪い、毒のある呪いであれば、それで呪われてしまっても構わない。その代わり、それが美しく、魂を幸せにしてくれるようなものだったら…。

ヴィクター・マサエスヴァ

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp