Yearly Archives: 2017
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 ボランティアミーティングがスタート!
山形国際ドキュメンタリー映画祭の運営の現場は、多くのボランティアさんのご協力によって成り立っています。
会場係、ゲストサポーター、市民賞運営、デイリーニュース、司会進行、広報係、香味庵クラブ運営、同時通訳機操作、などなど様々なセクションに分かれて活動していただいています。現在まで250人ほどのご登録をいただいており、ボランティアのみなさんの希望にできるだけ沿う形で、ご担当いただくセクションに分かれてもらいました。山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 開催まであと残りひと月となり、各担当現場の具体的な打ち合わせを行うボランティアミーティングが各セクションごとに始まっています。
9月8日金曜日、会場ボランティア・ミーティングが山形市内で開かれました。
チケットの種類や、IDカードの種類、モギリや人数カウントの方法、会場内外でのお客様誘導時のお声掛けなど、会場ボランティアの具体的なお仕事内容を説明させていただきました。
その後、ご担当いただく会場ごとに分かれて、期間中に活動いただける日程や時間帯などの摺合せを行いつつ、混み合うことが予想される上映時間などを共有していきます。上映スケジュールが掲載されたプログラムチラシを開きながら、様々に意見交換をしました。はじめて映画祭ボランティアに参加する方がいる一方で、同じくらいの数の常連ボランティアさんがいらっしゃいます。常連ボランティアさんたちが事細かく現場の雰囲気を伝えてくれることで、はじめて参加される方の不安が徐々に解きほぐされていくようでした。私たち事務局側が機械的に説明するよりも、やはり経験者の方の声の方がよりわかりやすく伝わるものですね。
こうしたミーティングを繰り返しながら、映画祭開催に向けた準備を進めていきます。
「この部分はこうした方がやりやすかった」「この方がお客さんに親切」など、ボランティアさんたちから独自のアイデアが飛び出します。そうした声をしっかりとすくい取り、形にしていくことで、映画を観ること、語ることに集中できるよりよい映画祭空間を生み出すことができるんですね。この手作り感覚が山形国際ドキュメンタリー映画祭の魅力とも言われています。
ボランティアさんと一緒になって作る市民参加型の国際映画祭。今年もゲスト、観客の皆さんに快適に過ごしていただけるよう、様々にアイデアを凝らしながら準備を進めていますので、ぜひ楽しみにして山形にいらしてください。
(文責:山形映画祭事務局)
YIDFF 2017 アジア千波万波 上映21作品! +特別招待2作品!
審査員
テディ・コー(フィリピン/映画研究者、アーキビスト)/塩崎登史子(日本/映像作家)
パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ Bamseom Pirates, Seoul Inferno 監督:チョン・ユンソク/韓国/2017/119分
韓国社会の様々な問題と接点を持ちながら、若者の閉塞感をシャウトするグラインドコア・バンド、パムソム海賊団。しかし2012年、友人/プロデューサーが国家保安法で逮捕され……。
10月6日20:50~フォーラム5 10月7日16:20~フォーラム3
カーロ・ミオ・ベン(愛しき人よ) Caro Mio Ben (My Dear Beloved) 監督:蘇青(スー・チン)、米娜(ミー・ナー)/中国、シンガポール/2017/118分
視力や聴力に障がいを持つ子どもたちが通う学校の日常世界。思春期を迎える少女たちそれぞれの心の揺らぎを見つめる。『白塔 』(YIDFF 2005 アジア千波万波) の蘇青、米娜作品。
10月8日13:15~フォーラム5 10月9日13:10~フォーラム3
翡翠之城 City of Jade 監督:趙德胤(チャオ・ダーイン/ミディ・ジー)/台湾、ミャンマー/2016/99分
ミャンマー北部、政府軍とカチン独立軍との断続する戦争のただ中で翡翠を採掘する兄と仲間たち。家族や兄との関係を語りながらカメラを向けていく。
10月7日10:45~フォーラム3 10月9日19:30~フォーラム5
ドロガ! Droga! 監督:ミコ・レベレザ/アメリカ、フィリピン/2014/8分
アメリカ文化とタガログ語が混ざり合い、アメリカに住むフィリピン人のある存在証明。スーパー8フィルムに焼き付けられた監督の心の中を覗き込んでみる。
10月6日15:30~フォーラム5 10月8日13:00~フォーラム3
ディスインテグレーション 93ー96 Disintegration 93-96 監督:ミコ・レベレザ/アメリカ、フィリピン/2017/6分
監督の家族がロサンゼルスに移り住んだ90年代のホームビデオから滲む不安と郷愁、そして今。アメリカで「融合されない」存在が、映像となって突進する。
10月6日15:30~フォーラム5 10月8日13:00~フォーラム3
創造の発端ーアブダクション/子供ー The Beginning of Creation: Abduction / A Child 監督:山城知佳子/日本/2015/18分
ダンサーの川口隆夫による舞踏家の故・大野一雄の伝説的な舞台の再現。作者の視線は、立ち現れた得体の知れない剥き出しの身体に密着する。
10月6日15:30~フォーラム5 10月8日13:00~フォーラム3
肉屋の女 A Woman of the Butcher Shop 監督:山城知佳子/日本/2016/27分
米軍基地があるために開発を免れた浜に漂着した肉塊を解体し、売る女。肉に群がる男たち。現実と創作を往き来しながら、沖縄の今が描き出される。
10月6日15:30~フォーラム5 10月8日13:00~フォーラム3
中国街の思い出 In Memory of the Chinatown 監督:陳君典(チェン・ジュンディェン)/台湾/2016/30分
台南市、再開発で取り壊される住宅と商店街が同居する「中国城」。廃墟のような建物の呼吸とかつての住人の記憶が呼応する。
10月6日14:20~フォーラム3 10月7日10:30~フォーラム5
人として暮らす The Slice Room 監督:ソン・ユニョク/韓国/2016/69分
生活困窮者が身を寄せ合って暮らすチョッパンが再開発で消えようとしている。監督はそこで生活しながら、生活保護制度のひずみも浮かび上がらせる。
10月6日14:20~フォーラム3 10月7日10:30~フォーラム5
風のたより On to the Next Step: Lives After 3.11 監督:田代陽子/日本/2015/180分
2011年の震災後の2年間、北海道・大沼の山田農場、洞爺湖畔のパン屋、大沼対岸の青森・大間の漁師。原発への不安を抱きながらの生活を丹念に追う。
10月7日16:40~フォーラム5 10月9日19:10~フォーラム3
ノカス Nokas 監督:マヌエル・アルベルト・マイア/インドネシア/2016/76分
西ティモール、クパン。結婚を控えたノカスは、持参金など家同士の「結婚」事情に翻弄されながらも、たくましい姉や母の力を借りて実現に向けて動く。
10月6日10:30~フォーラム5 10月8日15:40~フォーラム3
猫、犬、動物、そしてサシミのこと Of Cats, Dogs, Farm Animals and Sashimi 監督:ペリー・ディゾン/フィリピン/2015/78分
ミンダナオ島、ザンボアンガのゴム農園などを転々としながら成長したドンドン。家族のこと、将来を思い悩む少年の言葉をカメラは拾いながら、村の生活を淡々と描く。
10月6日15:00~フォーラム5 10月8日10:30~フォーラム3
くるまれた鋼 Rubber Coated Steel 監督:ローレンス・アブ・ハムダン/レバノン、ドイツ/2017/19分
2014年、イスラエル兵がパレスティナ人の若者2人を撃った事件。その弾丸をめぐる法廷での審理記録や銃声の解析図から沈黙の裁判が立ち現れる。
10月6日17:40~フォーラム5 10月8日20:50~フォーラム3
ウラーッ! Hurrahh! 監督:チョン・ジェフン/韓国/2011/75分
一人の人間の肉体が、個体性を少しづつ侵食されながら、同時に氾濫の時を伺っている。不穏な空気とともに、叫びがこだまする、ある男の家と仕事の往復。
10月6日17:40~フォーラム5 10月8日20:50~フォーラム3
自画像:47KMに生まれて Self Portrait: Birth in 47 KM 監督:章梦奇(ジャン・モンチー)/中国/2016/102分
中国の田舎の風景に、厳しい人生を送ってきた腰を曲げて歩く老女と若い女性。時にパフォーマンスを交えた、『三人の女性の自画像 』(YIDFF 2011 アジア千波万波) の章梦奇作品。
10月7日13:50~フォーラム5 10月9日16:20~フォーラム3
夜明けの夢 Starless Dreams 監督:メヘルダード・オスコウイ/イラン/2016/76分
少女たちが更生施設で迎える新年。彼女たちにとって塀の外の世界とは? 『母の家は入り江 』(YIDFF 2001 アジア千波万波) のメヘルダード・オスコウイ作品。
10月7日20:50~フォーラム5 10月9日10:45~フォーラム3
このささいな父の存在 This Little Father Obsession 監督:サリーム・ムラード/レバノン/2016/103分
家も家系も引き継げないゲイである監督が、父を、家族を、伝統を、耽美とユーモアで挑発する。『髪を切るように 』(YIDFF 2011 アジア千波万波) のサリーム・ムラード作品。
10月7日19:30~フォーラム3 10月9日16:30~フォーラム3
そこにとどまる人々 Those Who Remain 監督:エリアーン・ラヘブ/レバノン、アラブ首長国連邦/2016/95分
シリアとの国境に近いレバノン北部で食堂を営み、変わりゆく村に留まり続ける男の思いが刻まれる。『されど、レバノン 』(YIDFF 2009 アジア千波万波 奨励賞) のエリアーン・ラヘブ作品。
10月8日18:10~フォーラム3 10月9日13:45~フォーラム3
あまねき調べ Up Down & Sideways 監督:アヌシュカ・ミーナークシ、イーシュワル・シュリクマール/インド/2017/83分
ミャンマーとインドの国境近くのナガランドの農村に響く、協働のコール&レスポンス。田畑も、恋も、友情も、苦い記憶も、皆が歌とともにある。
10月7日13:40~フォーラム3 10月8日10:45~フォーラム3
長江の眺め A Yangtze Landscape 監督:徐辛(シュー・シン)/中国/2017/156分
揚子江を上海から宜賓(イビン) まで遡っていく。それぞれの地での事件を字幕で表わし、移り変わる風景のなか沿岸で生活する人々を描く、ゆったりとした映画的時間。
10月6日18:00~フォーラム3 10月8日16:30~フォーラム3
乱世備忘ー僕らの雨傘運動 Yellowing 監督:陳梓桓(チャン・ジーウン)/香港/2016/128分
香港、雨傘革命。警官たちとの対峙や衝突のなかで、参加する若者たちの視点に立ち、彼らの日常会話に耳を傾け、感情の喜怒哀楽を素直に伝える。
10月6日11:00~フォーラム3 10月8日20:20~フォーラム3
アジア千波万波 特別招待作品
映画のない映画祭 A Filmless Festival 監督:王我(ワン・ウォ)/中国/2015/80分
2014年8月、宋荘の北京インディペンデント映画祭が開催前日、当局によって閉鎖された。集まった監督や観客などが撮影した映像を集め、事の顛末を記録した。
10月6日15:20~フォーラム4 10月10日10:30~フォーラム3
カット Cuts 監督:ハイルン・ニッサ/インドネシア/2016/70分
『空を飛びたい盲目の豚』の監督(エドウィン) とプロデューサーが、インドネシアの法律で義務づけられている検閲申請を行い、ベールに包まれた過程を記録する。
10月6日13:00~フォーラム4 10月10日14:00~フォーラム3
「ヤマガタ映画批評ワークショップ」参加者募集中!
今年もやります「ヤマガタ映画批評ワークショップ」!
映画祭というライブな環境に身を置きながら、ドキュメンタリー映画を通して世界について思考し、執筆し、読むことを奨励するプロジェクト。ワークショップ参加者に提供されるプレスパスで多くの映画を鑑賞し、プロの映画批評家のアドバイスを受けて文章を執筆します。
完成した批評は、本サイトにて発表していきます。
※過去の「ヤマガタ映画批評ワークショップ」作品は、本サイトの「archive」ページでご覧いただけます。(http://www.yidff-live.info/archives/)
ドキュメンタリー映画のレビューの執筆に意欲ある方のご応募をお待ちしております!
過去の「ヤマガタ映画批評ワークショップ」の様子
ヤマガタ映画批評ワークショップ 募集要項
[期間]10月6日[金]ー9日[月・祝]
[場所]山形まなび館
[応募条件]
10月6日〜9日の4日間、映画祭に参加できること
日本語での議論、執筆ができること
交通費、現地滞在費を自己負担できること
[応募方法]
件名に「ヤマガタ映画批評ワークショップ応募」と明記の上、東京事務局批評ワークショップ宛て(mail@tokyo.yidff.jp)に、下記①〜⑦をメールにてお送りください。
①氏名(よみがな)
②年齢(生年)
③住所
④電話番号
⑤メールアドレス
⑥プロフィール(学歴、職歴)
⑦志望動機 800〜1,200字程度(なぜドキュメンタリーについて書きたいのか、など)
[応募締切]2017年9月11日[月]
※締切日を持ちまして応募受付は終了しております。多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。
[結果発表]書類選考後、2名の参加者を決定し、9月下旬に結果を応募者にメールにてご連絡いたします。
[内容]本年の上映作品観賞後、各自レビューを執筆。講師による懇切丁寧な指導を受け、完成したレビューは、本サイト(ドキュ山ライブ!)に掲載予定。
[講師・映画批評家]北小路隆志
北小路隆志:映画批評家、京都造形芸術大学教授。装苑や朝日新聞などに映画批評を執筆。主な著書に『王家衛的恋愛』、最近の共著に『アピチャッポン・ウィーラセタクン』、『エドワード・ヤン発見/再考』などがある。
[問い合わせ]山形国際ドキュメンタリー映画祭東京事務局 批評ワークショップ宛(電話:03-5362-0672 e-mail:mail@tokyo.yidff.jp)
(文責:山形映画祭事務局)
カンボジア出身のインターン、Phally Ngoeum(パリー・ヌム)さんが「山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017」トレーラーを制作。
山形国際ドキュメンタリー映画祭の事務局に、6月26日から8月25日までの2ヶ月間、カンボジア出身のインターンが滞在していました。お名前は、パリー・ヌム(Phally Ngoeum)さん。
パリー・ヌムさん
パリーさんは、カンボジアの首都プノンペン出身で、現在はアメリカのオハイオ大学大学院修士課程で学ぶ映像作家です。これまでは、カンボジアの大学を卒業後、リティ・パン監督が設立したボパナ視聴覚リソースセンター(今年の「ともにある Cinema with Us 2017」で連携)に勤務し、海外への違法な出稼ぎ斡旋などをテーマにしたドキュメンタリー作品を製作してきました。
今回のインターン期間では、「山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017」のトレーラーと「やまがた」という土地の魅力を多くの人に伝えるPR映像を制作しました。作品は本サイトの動画ページでご覧いただけます(「やまがたPR動画」は近日公開予定)。
撮影では、さくらんぼの収穫の様子や山形名物の蕎麦打ちなどのほか、蔵王、山寺、銀山温泉など山形の名所も訪れました。特に山寺の「長い歴史を感じることができる」佇まいには、とても惹かれるものがあったようです。
アメリカの大学に戻ったら、また映画制作の勉強に没頭するとのこと。カンボジア社会の様々な問題について、実際にその境遇にある人々としっかりと向き合ったドキュメンタリー作品を撮りたいという意思を、事務局に滞在した2ヶ月の間に何度も語ってくれました。
「山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映されるような作品を撮りたい」
パリーさんのこの言葉がいつか必ず実現することを、私たちも願っています。
映画祭のメイン会場がある山形市七日町で撮影するパリーさん
さくらんぼを撮影するパリーさん
蔵王の御釜にて。天候に恵まれた撮影日和。
(文責:山形映画祭事務局)
山形市民による映画制作ワークショップ「エンカウンター・シネマ in Yamagata」参加者募集中です!
あの時“やまがた”で発せられた声なき声を、いま、ここで、あなたとともに記憶する。
山形の町で体験した、人生の中でずっと心に秘めていた大事な出来事のエピソード、あなただけの山形の“あの場所(それは無名の場所かもしれない)”のエピソードを、いま、ここで、共に語り/聴くこと、その場所をもう一度訪ね、共に見つめ/見つめられることから、一人一人の思いを、この町の現在に掘り起こす「映画」を協働してつくるワークショップを映画祭の開催期間中に行います。
それは、一人一人のあの日の声なき声を、未来の町の記憶にする行為。どこかの誰かではなく、私たちのこの場所の映画を一緒につくりませんか?
ご自身の大切な思い出を参加者のみなさんと話し合うことで共有しながら、実際にその体験をした場所を訪れ、自らカメラを回し、「記憶」を記録する映像制作ワークショップです。
思い出の場所の「記憶」はどんなものでも大丈夫です。
たとえば……
「十字屋山形店 最上階のファミリー食堂」
小学4年生のとき、父が病気で亡くなり、母が一人で仕事をして私を育てていくことになった。まだ父がなくなってから日の浅いある日のこと、山形駅近くの十字屋デパートの最上階にある「ファミリー食堂」に、母が連れていってくれたことがある。
そこはこれまでにも、母方の祖父に何度も連れて行ってもらったことのある場所だった。祖父はいつもそこでソフトクリームを買ってくれた。市内を遠くまで見渡すことができる食堂の一番奥の窓際の席が私のお気に入りだった。でも子どもには少しだけ窓の位置が高かったため、祖父がいつも、ソフトクリームを食べている私を抱き上げ、外を見せてくれた。
そんなとき決まって祖父は、「うまいが?」と尋ねてきたものだった。
別の日。母と二人でファミリー食堂に行ったその日の店内は、週末だったためかものすごく混み合っていた。その日座ったのは、窓際ではなく入口近くの席だった。そしてなぜかいつまでたっても自分の注文したものだけが出てこなかった。
何を注文したのかはもう忘れてしまったけれど、今思えば単に忙しくて私のオーダーだけどこかで抜けてしまっただけだったのだと思う。しかしその時は、私のところだけ避けられているかのように、待っても待っても注文したものが出てこない。
その時、母が従業員を呼び、ものすごい剣幕で怒ったのだ。店内に響く母の声。
優しくて大声など聞いたことのなかった母の怒鳴る姿。このとき初めて母の怒る姿を見たような気がした。父が亡くなったことで母が父の分までやらなきゃと思ってるんだと、小さいながら思った。
(40代 NPO職員 日下部克喜)
こんな感じのエピソードを参加者のみなさんによる語りと撮影した映像によって構成していく試みです。
募集概要
[定員]6名
[会場]山形まなび館
[参加費]無料
[日程]本番:10月6日[金]〜9日[月]の4日間、事前顔合わせ:9月16日[土] ※全日参加を必須としています。
[時間]各日13:00〜17:00
[備考]年齢・経験・カメラの知識など一切問いません(60代以上大歓迎)
応募をご希望される方には、応募用紙をお送りします。山形映画祭事務局までご連絡ください(e-mail: info@yidff.jp)。
[応募締切]2017年9月8日[金]必着
※締切日を持ちまして、応募受付は終了しております。多数のご応募をいただき、誠にありがとうございました。
[問い合わせ]山形国際ドキュメンタリー映画祭「エンカウンター・シネマ」係 電話:023-666-4480
みなさまのご応募を心よりお待ちしております!
(文責:山形映画祭事務局)
インターナショナル・コンペティション作品、邦題変更のお知らせ
インターナショナル・コンペティション上映作品の邦題を変更いたしました。ポーランドのアンナ・ザメツカ監督の作品(原題:Communion)は『聖餐式』改め『オラとニコデムの家』となります。
配布中のプログラムチラシでは『聖餐式』と表記されておりますので、ご注意ください。
本作品につきまして、上映スケジュールに変更はございません。ご了承ください。
YIDFF 2017 インターナショナル・コンペティション上映15作品!
審査員
イグナシオ・アグエロ(チリ)/ディナ・ヨルダノヴァ(ブルガリア)/ジョスリーン・サアヴ(レバノン)/ランジャン・パリット(インド)/七里圭(日本)
また一年 Another Year 監督:朱声仄(ジュー・ションゾー)/中国/2016/181分
中国のとある出稼ぎ労働者家庭における食卓風景を13ヶ月の章立てにより描き出す圧巻の180分。変化の激しい現代中国社会の実装が垣間見える、一年の「時」の記録。
10月6日13:15〜山形市民会館 10月9日13:50〜山形市中央公民館
カラブリア Calabria 監督:ピエール=フランソワ・ソーテ/スイス/2016/117分
スイスの葬儀会社で働く二人の移民の男。ある遺体をイタリア・カラブリア州まで霊柩車で移送する。人生、そして愛についての彼らの対話や旅先での出会いが織りなす叙情的な人生賛歌。
10月6日13:30〜山形市中央公民館 10月8日10:30〜山形市民会館
オラとニコデムの家 Communion 監督:アンナ・ザメツカ/ポーランド/2016/72分
酒飲みの父と自閉症の13歳の弟の面倒を見るポーランドの少女オラ。弟の初聖体を機に、家を出た母親を呼び戻し、家族を一つにしようと献身的に立ち回るが…。困難な日常に立ち向かう幼い魂の記録。
10月7日18:45〜山形市中央公民館 10月10日13:15〜山形市民会館
ドンキー・ホーテ Donkeyote 監督:チコ・ペレイラ/スペイン、ドイツ、イギリス/2017/86分
73歳のマヌエルは、愛するロバと犬を相棒に、スペインからアメリカへ2200キロを踏破するという壮大な旅への出立を決意する。老いてなお自由に、ありのままを生きる姿を讃えるロードムービー。
10月9日18:15〜山形市中央公民館 10月10日10:30〜山形市民会館
エクス・リブリスーニューヨーク公共図書館 Ex LibrisーThe New York Public Library 監督:フレデリック・ワイズマン/アメリカ/2016/205分
ニューヨーク公共図書館という「世界」を題材にしたフレデリック・ワイズマン監督新作。デジタル時代の図書館が取り組む課題や試み、そこに集う多様な人々の姿からアメリカの現在を浮き彫りにする。
10月6日16:45〜山形市中央公民館 10月8日16:30〜山形市民会館
ニンホアの家 A House in Ninh Hoa 監督:フィリップ・ヴィトマン/ドイツ/2016/108分
ヴェトナム戦争で離散した家族の記憶を抱く南部ニンホアにある「家」。ヴェトナムとドイツ、過去と現在、生者と死者。それら二つの世界がこの「家」で再会し、三世代にわたる家族の物語を紡ぎ出す。
10月7日12:45〜山形市中央公民館 10月8日13:40〜山形市民会館
私はあなたのニグロではない I Am Not Your Negro 監督:ラウル・ペック/アメリカ、フランス、ベルギー、スイス/2016/93分
作家故ジェームズ・ボールドウィンの未完の原稿をもとに、アフリカ系アメリカ人の激動の現代史を紡ぎ出す。今も変わらぬ差別の本質が、作家の言葉や記録映像、映画や音楽から浮かび上がる。
10月6日10:30〜山形市民会館 10月10月16:05〜山形市中央公民館
激情の時 In The Intense Now 監督:ジョアン・モレイラ・サレス/ブラジル/2017/127分
1966年の中国、1968年のパリ、プラハ。当時のアーカイブ映像に記録された人々の情熱を読み解き、歴史的スペクタクルと個人の生との関係、その記録の意味を問いかける。
10月6日10:00〜山形市中央公民館 10月7日18:15〜山形市民会館
孤独な存在 Lone Existence 監督:沙青(シャー・チン)/中国/2016/77分
何年も家から出ることなく誰とも話さず過ごしてきた監督。隠された自己を投影する他者の存在をカメラで観察する欲望だけが、彼の生をつなぐ。『一緒の時』の沙青監督作品。
10月7日10:00〜山形市中央公民館 10月9日19:00〜山形市民会館
機械 Machines 監督:ラーフル・ジャイン/インド、ドイツ、フィンランド/2016/75分
インドの巨大な紡績工場。その奥へと深く分け入るカメラによって映し出される労働現場の「美」に、不当な労使関係、子どもも含む出稼ぎ工場労働者の過酷な現実が生々しく凝縮される。
10月7日16:00〜山形市中央公民館 10月10日15:45〜山形市民会館
カーキ色の記憶 A Memory in Khaki 監督:アルフォーズ・タンジュール/カタール/2016/108分
4人の人物が故国シリアに対する複雑な思いを語る。それはカーキ色の抑圧的な世界であり、別の者にとっては赤く染まった暴力的な世界だ。同地出身の監督が故郷の記憶とその喪失の悲しみを分かち合う。
10月9日10:30〜山形市民会館 10月10日10:00〜山形市中央公民館
ニッポン国 vs 泉南石綿村 Sennan Asbestos Disaster 監督:原一男/日本/2017/215分
大阪・泉南地域で起きたアスベスト被害の国家賠償請求訴訟。最高裁判決までの8年以上にわたる原告と弁護団の闘いを原一男監督が記録し、その痛切な闘争のドラマをしたたかに描き出す。
10月7日13:15〜山形市民会館 10月8日10:00〜山形市中央公民館
自我との奇妙な恋 A Strange Love Affair with Ego 監督:エスター・グールド/オランダ/2015/91分
自分に確固たる自信を持ち、あるべき自己像に苦しみ続けた姉。妹である監督が、その心のうちを別の女性たちの姿を通して探求する。現代人の生きづらさを切実に描き出す私的エッセイ。
10月7日10:30〜山形市民会館 10月10日13:15〜山形市中央公民館
願いと揺らぎ Tremorings of Hope 監督:我妻和樹/日本/2017/146分
東日本大震災で被災した宮城県南三陸町 の波伝谷。そこに暮らす人々の復興への願いと心の揺らぎを伝統行事「お獅子さま」復活の過程をめぐって描き出す。『波伝谷に生きる人びと』の我妻和樹監督。
10月6日17:30〜山形市民会館 10月9日10:00〜山形市中央公民館
航跡(スービック海軍基地) Wake(Subic) 監督:ジョン・ジャンヴィト/アメリカ、フィリピン/2015/277分
フィリピンルソン島の旧米海軍基地周辺の住民が直面する深刻な環境汚染と健康被害。人々の声に耳を傾け続けるジョン・ジャンヴィト監督による、前作『飛行機雲』に連なる277分の映像記録。
10月8日15:20〜山形市中央公民館 10月9日13:15〜山形市民会館
高校生・大学生による映画祭ボランティア「ドキュ山ユース」始動しました!
地元の高校生、大学生にもっとこの映画祭を楽しんでもらいたいと考え、新たに「ドキュ山ユース」というボランティアチームを立ち上げました。呼びかけに集まってくれた有志のみなさんと映画祭でのボランティアはもちろん、企画運営のサポートや自主上映会の開催などを一緒に行なっていく予定です。
8月12日に、この「ドキュ山ユース」の最初の企画として「国際映画祭の作り方ワークショップ」を行いました。この日は山形県内各所から9人の学生・生徒さんたちが集ってくれました。
まずは「映画を観ること」について。ファシリテーター役は『東北記録映画三部作』で知られる映画監督の酒井耕さんが担当しました。
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2003 の特別賞・市民賞受賞作品『純粋なるもの』を観賞後、作品を観て感じたこと、疑問に思ったこと、面白かった、つまらなかった、様々な意見を自由に発言する場を設けました。作品の中で描かれる、家族で聖なる浄めの儀式に出席する様子や、男性社会における女性の葛藤など、ユダヤ教の二千年来の戒律の中で生きる女性たちの声や表情、静謐な水のイメージから呼び起こされる様々な感情を共有し合う中で、次から次へと言葉が飛び出します。
宗教観や信仰などによって変わる社会の中での「女性」の存在、繊細かつ痛々しい現実に対して、監督をはじめとする作り手は何を観る者に伝えたかったのか。そのような話が展開する一方で、ノーナレーション、ノンテロップの極力説明を排した映像に「なにかを問いかけられている気がした」という声も発せられ、映画作品の「作り方」「見せ方」にも話がおよびました。
その後、休憩をはさんで、いよいよ「山形国際ドキュメンタリー映画祭」について語り合いました。
キーワードを「山形」と「国際」と「ドキュメンタリー映画(祭)」に分け、この3つのうちで自分が興味のある事柄を選択。3つの班でそれぞれに関連する言葉を自由に連結しながら、発想することの面白さや意見を交換、共有することを体感していきます。
「山形の人はいいところを自慢するのが下手」「海外の人とコミュニケーションをすることで、自分の思考が広がる」「ドキュメンタリーは真実を映しているもの? フィクションとの違いは?」などなど、各班とも対話は途切れません。「映画監督って儲かるの?」なんて疑問も飛び出したりして、しかしそんな疑問からドキュメンタリー映画が撮られていることの大切さ、という漠然とした話にも飛躍していきました。
最後は各班ごとに話した内容の発表を行い、それらを総合して、「山形」で「国際」的な「ドキュメンタリー映画」祭をやることにどのような意味があるのか、あるいはそんな意味などどこにもないのか。この映画祭を知らない人に、その面白さをどのように伝えていけばいいのか、などなど。どんな意見も尊重する、結論のない自由な対話を繰り広げました。
「はっ」とさせられる根本的な疑問や、思いも寄らない発想の数々に、私たち大人が様々なことを学ばされる機会になりました。この日来てくれた学生・生徒さんたちには、10月の映画祭で、会場係や司会進行、ゲストサポーターなどのそれぞれのセクションで活躍してもらいます。世界中から集う映画と人に出会い、日常生活ではなかなか体験できない、たくさんの交流を楽しんでもらえたらと思います。
次の世代へ向けた実りある山形国際ドキュメンタリー映画祭になるよう、より多くの高校生・大学生たちの参加を願っております。
(文責:山形映画祭事務局)
山形国際ドキュメンタリー映画祭の楽しみ方のコツはここにあり
山形国際ドキュメンタリー映画祭を楽しむための重要なツールとして、プログラムチラシがあります。タイトルと内容、それがどの会場でいつ上映されるのか、映画祭の全容が載っているタブロイド版の冊子です。
「何を観たらいいのかわからない!」そんな時は描かれる地域やテーマを頼りに、心惹かれるものをまずひとつ選択してみましょう。時間割部分にマーカーで印をつけながら、「音楽ものは外せない」「アフリカの今を観てみよう」などなど、想像を巡らせてみる。
すると、興味が連鎖していって、自分なりの映画祭の歩き方が見えてきます。それを地図がわりに作品を観て回るわけですね。もちろんそこには当たりハズレもあるかもしれません。「素晴らしかった!」「思っていたのと違ってイマイチだった…」。でも、そこからがもう1つの楽しみ方のポイント。作品に対するその感想を、上映後のQ&Aやロビートークで監督本人にぶつけてしまうんです。ゲストでいらしていただいている監督などの作り手のみなさんは、とても真摯にそれに答えてくれます。
そこから自分の見識の幅が広がるなんてこともあるかもしれません。この誰もが平等に映画について語れる垣根のない空間が映画祭の醍醐味です。映画を通した素敵な対話を、ぜひお楽しみください。
(文責:山形映画祭事務局)
ただいま映画祭事務局に山形大学のインターン生が来ています
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 の開催まで、あと残りひと月半ほどとなりました。
なにかと慌ただしい山形映画祭事務局ですが、今週は山形大学から二人の学生さんがインターンに来ており、あれやこれやと溜まっていく準備作業の数々を着々とこなしていってくれています。来局してくれているのは、工学部3年生の宮崎綾乃さんと、地域教育文化学部3年生の大久保友華さんです。お二人は、インターン終了後も映画祭ボランティアとして活動してくれるとのこと。この準備期間に体験した様々なお仕事が、映画祭本番でどう実を結ぶのか、しっかりと体感してもらえることを期待しています。
お二人から、インターンをしてみての感想をもらいましたのでご紹介いたします。
宮崎綾乃さん(山形大学工学部3年)
私は今回のインターンシップを通して、広報活動とドキュメンタリー映画の見方について学びたいと思い、志望しました。
インターンシップの初日、まだ日本語字幕がついていない状態の作品を英語字幕のみで鑑賞しました。大体は読み取れたものの、もっと英語力を身に付けたいと強く思いました。ポスターの掲示のお願いをする活動や、新聞社からの取材を見学させてもらい、どれも初めての体験で新鮮でした。
また、先日のワークショップでは意見交換の面白さに感動しました。同じ作品を観たのにも関わらず、全く違う意見があり、もっと話をして意見を聞いてみたいと熱が入ってしまいました。
明日でインターンシップは折り返し地点となりますが、今後もいろいろな大変をし、有意義な5日間にしたいと思います。
大久保友華さん(山形大学地域教育文化学部3年)
映画を見ることが好きで、この映画祭でのインターンシップを見つけた時に「面白そう!」と思い、応募しました。
8月12日のワークショップでは、映画を見た後に、みんなで感想や意見を伝え合うことで、自分ひとりでは到達しなかった考えや感情に出会う体験をしました。自分の心に生まれたものを言葉にして伝え合うことの不思議な力を感じました。
インターンシップでは、チラシの作成やポスター配り、事務作業など様々なことをさせていただいています。映画祭をつくるためには多くの人の参加、協力が不可欠であり、映画祭の魅力をいかに伝えていくかが重要であると実感しています。
※お二人が感想として述べている“ワークショップ”とは、8月12日に開催した「ドキュ山ユース ワークショップ 〜国際映画祭の作り方〜」のこと。詳しくは、トピックスの「ドキュ山ユース ワークショップを開催しました!」の記事をご参照ください。
(文責:山形映画祭事務局)
なぜ、山形でドキュメンタリーの映画祭をやるようになったのか?
山形国際ドキュメンタリー映画祭は、1989年に山形市市制施行100周年の記念事業としてスタートしました。
蔵王での国際スキージャンプ大会、物産品を紹介する世界おみやげ博。これらに並び、山形市の3大記念事業として声が上がったのが、国際映画祭の開催でした。
山形市がどんな映画祭を作るかを話し合う中で意見を求めたのが、東京から山形県上山市に移住して映画制作を行っていた小川紳介監督でした。小川監督は成田空港建設反対の農民闘争を追った『三里塚シリーズ』などで日本ドキュメンタリー映画界の巨人として、すでに海外でも高く評価されていましたが、さらなる映画表現の深化を求めて、農村での自給自足の生活に取り組んでいました。そこで「ぜひドキュメンタリー映画の祭典を!」との言葉を貰ったのが始まりです。
その後、小川監督は山形県内の映画好きの若者たちに呼びかけ、映画祭を外から支えるボランティアを組織します。この団体は小川監督と共に、アジア初のドキュメンタリー映画祭としての歩むべき道を切り開き、行政側だけでは小回りの利かない運営の現場を盛り上げてきました。
これが現在300人を超えるまでに成長した映画祭ボランティアの原型です。行政や映画の専門家だけじゃない、市民が手作りする映画祭。2007年にNPO法人として運営主体が山形市から独立した際に、事務局の主要メンバーとなったのも、1989年当時に小川監督の呼びかけで集まった人たちでした。小川紳介監督は1992年に亡くなられましたが、その精神は今もこの映画祭に息づいています。
(文責:山形映画祭事務局)
さよならパーティーの様子。ゲストの監督たちと映画祭ボランティアの皆さん。