Yearly Archives: 2018
《放課後上映会》はじまりました!
ドキュ山ユースが映画を携え学校を巡回する《放課後上映会》がはじまっています。
YIDFF2017を機に集まったドキュ山ユースのメンバーはこれまで、海外から監督を招いての上映会や、大正ロマン漂う「文翔館」を会場にした野外上映会など、高校生ならではの視点からドキュメンタリー映画を楽しんでもらえるよう、さまざまな形でイベントを企画してきました。
そして今回は、より高校生が参加しやすいように、学校の教室を劇場に変えての巡回上映!
同年代の若者に見せたい作品としてユースが選んだのは、YIDFF2017でチャーミングなロバとおじいさんが観客の心を鷲掴みにした人気作『ドンキー・ホーテ』(監督:チコ・ペレイラ)。
普段の教室が劇場に!
記念すべき第1回は山形市の山形東高校にて!
2018年11月12日(月) @物理室
国際交流に関心を持つ<山東探求塾>のみなさんが協力してくれました。
教室備え付けのプロジェクターやスクリーンをお借りし、先生に協力してもらいながら機材の操作も自分たちで。
続いてはお隣上山市に飛んで、上山明新館高校!
2018年12月13日(木) @多目的視聴覚室
壁に貼られたのは、ポスターの裏紙などを使ってユースが手作りした特設スクリーン。
映画館のようなベストな上映環境とはいきませんが、映画にはいろんな楽しみ方があるのだと気付かされます。
2019年も乞うご期待!
放課後上映会はまだまだはじまったばかり。
「わたしたちの学校でも映画が観たい!」なんてリクエストありましたら、ドキュ山ユースまたは映画祭事務局までどしどしお問い合わせください。
ドキュ山ユースツイッターも随時更新中です!
(文責:山形映画祭事務局)
1月11日[金]〈YIDFF 2017 アンコール 10:韓国、生活の柄〉
新年一発目の金曜上映会は、2017年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映されたコンペ部門の作品から選りすぐりのものを上映するアンコールシリーズ第10弾! 今回は「アジア千波万波」部門の中から、ソン・ユニョク監督の『人として暮らす』とチョン・ジェフン監督の『ウラーッ!』を上映します。
『人として暮らす』14:00- 19:00-(2回上映)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 アジア千波万波 奨励賞受賞作品
監督、撮影、編集:ソン・ユニョク/韓国/2016/69分
作品紹介:
生活困窮者が身を寄せ合って暮らすソウルの一角にある簡易宿泊所チョッパンが再開発で消えようとしている。同棲を始めたばかりのイルソとスンヒ、生活保護を受けるために苦難するナムスン、うつ病を抱えるチャンヒョン。ここに凝縮されて見える、まるで人を追い込むためにあるかのような社会のなかで、それぞれが支援団体とも関わりながら人らしく生きる道を模索する。監督はそこで生活し、素朴な問いを発しながら、社会保障制度の歪みも浮かび上がらせる。
監督のことば:
韓国で生まれ育った。街でホームレスの相談に乗る活動をしながら、彼らの口になりたいと思った。それは、彼らは街で生きて死んでいくが、その苦しみの声が社会に届いていなかったからである。
韓国社会の悲惨な貧困を目の当たりにして、大きく驚き、胸を痛めていた。ありえないと思われたことが実際にこの国では起きている。
終わりの見えぬ貧困の鎖を見て、その鎖を錆びつかせたい。あるいはそのもつれを解きほぐすことができるよう何とかしたいと思う。我々のカメラが彼らの口になる時、小さな希望が始まると信じている。
人びとは今もなお路上で死んでいる。だが制度は、貧困に終わりがないかのように、事態を永続させようとする。
貧困の最前線に位置する路上にあって、「ドキュジン(人)」はふらつくような歩みで人びとを記録していく。
ソン・ユニョク
『ウラーッ!』 15:30-(1回上映)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 アジア千波万波上映作品
監督、撮影、編集:チョン・ジェフン/韓国/2011/75分
作品紹介:
ビリヤード場で飲み物を運び、ガソリンスタンドで洗車し、黙々と働く男の日常生活をストーカーのように捉えるカメラは、観る者の視線と感覚を支配しようとしている。人と人が交わる感触、交わす言葉が一切排除された世界では、唯一「話す」機械音が生活のリズムを脳内に刻む。一人の人間の肉体が、個体性を少しずつ侵食されながら、同時に氾濫の時を伺っているのか。不穏な空気とともに、叫びがこだまする、ある男の家と仕事の往復。
監督のことば:
私は名もなく、アイデンティティもない不思議な力を映画に入れ込もうと努力した。そのため、登場人物の表情に表れる社会的関係、感情の変化、象徴性、性別などが表面化しないよう、作品から削ぎ落とそうとした。実際、私たちの生活は、体系的な枠組みだけでは捉え切れないことが多い。したがって、お腹がグウグウ鳴る音や夜空の雷、寝言といった感覚がつくり出す新たな道に沿って行くことしかできなかった。やがて、その道はフィクションに繋がることになる。こうした想像的な枠組みがつくり出した人物の表情を、ドキュメンタリーのような瞬間として捉えていくと、その力は現実にまで影響を与えることができると考えた。人物の生々しい表情が持つ、永遠に破壊していくような力を暖かく発揮できることを願いながら作品を作った。本作はSFホラー映画であり、またドキュメンタリーであるとも言える。
チョン・ジェフン
[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp
12月21日の金曜上映会〈小川紳介監督と学生運動〉
2018年最後の金曜上映会です。毎年必ず1回は開催している小川紳介監督作品上映。今回は「学生運動」という観点から初期作品『青年の海—四人の通信教育生たち—』と『現認報告書 羽田闘争の記録』を上映します。2本続けての上映となります。ぜひ足をお運びください!
14:00-、18:30-(2作品2回上映)
『青年の海 —四人の通信教育生たち—』
監督:小川紳介/1966/56分
作品紹介:
小川紳介監督第1作。文部省による大学通信教育制度の改訂を巡り、反対闘争に立ち上がった4人のリーダーたち。その闘争の中で、「働きながら学ぶことは素晴らしい」という美名が果たして本当なのか、なぜそこまで苦労してまで学ばなければならないのか、と自分たちの生き方そのものを見つめることを余儀なくされる。青年たちの迷い、そして悩みながらも闘いに乗り出す彼らを、小川は追い続ける。悩みながらも決して留まることのない4人に共鳴して、カメラまでもが走り始める。4人の青年とスタッフの、2つの青春の在り方が奇跡のように解け合う、真の意味での「青春映画」。
『現認報告書 羽田闘争の記録』
監督:小川紳介/1967/58分
作品紹介:
小川プロが初めて成田空港建設反対運動を描いた『日本解放戦線・三里塚の夏』(1968)製作の前年、日本は「第一次羽田闘争」に揺れていた。10月8日、羽田空港から南ベトナムに出発しようとする佐藤栄作首相を阻止しようと、ベトナム戦争に反対する新左翼の学生2500人(警視庁発表)がヘルメットをかぶりゲバ棒をもって集結する。石と火炎瓶が飛び交い、放水車と装甲車が出動するさなか、機動隊との衝突で京大生の山崎博昭が死亡。
本作『現認報告書』は、学生が乗っ取った装甲車に轢かれたという当局発表に対し、遺体解剖の細かい分析、手作りの模型や写真を使った解説、目撃者の証言を積み上げ、実際は機動隊の警棒による撲殺であったと検証する。さらにカメラは、一ヶ月後の「第二次羽田闘争」における逮捕者や負傷者の支援活動の様子を、我が子を捜す親の声とともに映し出す。渦中の学生たちの生の言葉がダイレクトに響く。作品には、黒木和雄、土本典昭、東陽一のほか、撮影に鈴木達夫、大津幸四郎、田村正毅が参加した。
小川紳介
1936年、東京生まれ。岩波映画製作所を経て、1964年、フリーになる。監督第1作『青年の海』(1966)や『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』(1967)などを自主制作。全共闘運動の盛り上がりのなか、全国の大学、職域などで支持を得る。1968年、小川プロダクションを旗揚げし、成田空港建設反対運動を描く「三里塚」シリーズ7作に没頭。農民の側に立って映画を作り続けた。1974年、山形県上山市牧野に移り住み、米作りをしながら農村を見続け、『ニッポン国古屋敷村』(1982)と『1000年刻みの日時計 ― 牧野村物語』(1986)を発表。1989年のYIDFF発足の準備委員として奔走、映画祭を成功に導いた。1992年2月7日逝去。
[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp
11月30日[金]〈岸善幸監督とドキュメンタリー・ドラマ〉
『二重生活』(2016)、『あゝ荒野』(2017)で知られる岸善幸監督(最上町出身)のドキュメンタリー・ドラマを2作品上映します。広島の女学校の少女たちの日記帳を元に、入学式から原爆投下までを描く『少女たちの日記帳』。そして、被災地女川で「ブログ」と「ラジオ」を通じて自分を取り戻していく女子高生と仲間たちの物語『ラジオ』の二本立て! テレビ番組作品ですが、今回特別にスクリーンでの上映を許可いただきました。めったにない機会です。ぜひ足をお運びください。どうぞお楽しみに!
『少女たちの日記帳 ヒロシマ 昭和20年4月6日〜8月6日』 14:00- 19:00(2回上映)
脚本・ディレクター:岸善幸/製作・著作:NHK、テレビマンユニオン/2009/109分
作品紹介:
昭和20年8月6日、広島に原子爆弾が投下される。広島県立広島第一高等女学校の1年生223人は建物疎開中に被曝し、亡くなった。残された日記帳には、彼女たちが生きた証、無残にも奪われた青春への淡い期待が綴られていた。戦争が日々の暮らしを侵食するなか、少女たちは何を想い、何を大切にしながら生きたのか。残された日記、遺族の証言をもとに現代に蘇った必見のドキュメンタリードラマ。
『ラジオ』 16:20-(1回上映)
演出:岸善幸/制作・著作:NHK、テレビマンユニオン/2013/89分
作品紹介:
東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県女川町。地域に必要な情報を住民自らの手で届けようという思いから、臨時災害放送局「女川さいがいエフエム」の活動が始まった。震災後引きこもりがちになっていた女子高生の「某ちゃん」も、周囲の勧めでラジオに出演することに。しかしマイクの前では思うように自分の気持ちを言葉にできあに。やがて彼女はブログを始めるが、とある投稿が世間の注目を集め……。
[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp
ドキュメンタリー映画『世界一と言われた映画館』
『世界一と言われた映画館』劇場公開情報
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017「やまがたと映画」プログラムにて上映された、映画祭製作の山形県酒田市の伝説の映画館をめぐる証言ドキュメンタリー映画が、東京の有楽町スバル座を皮切りに全国配給されることになりました! チラシビジュアルもリニューアル! この機会にぜひご鑑賞ください。
40年の時を経て語られる、かつてグリーン・ハウスを愛した人たちによるトリビュート・フィルム!
『世界一と言われた映画館』
監督:佐藤広一/企画・制作:認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭/日本/2017/Blu-ray・DCP/67分
●上映劇場(2019年2月25日更新)
東京都 キネカ大森 2/28まで
大阪府 第七芸術劇場 3/30〜(2/24特別先行上映)
新潟県 シネ・ウインド 3/16〜3/29
福島県 フォーラム福島 3/22〜
長野県 シネマポイント 3/23〜
埼玉県 川越スカラ座 3/30〜4/5
埼玉県 深谷シネマ 4/7〜4/20
京都府 京都シネマ 4/6〜4/12
兵庫県 元町映画館 5/4〜5/17
栃木県 宇都宮ヒカリ座 6/8〜6/21
長野県 上田映劇 時期未定
広島県 横川シネマ 時期未定
他、全国拡大中!
映画評論家・淀川長治が絶賛したグリーン・ハウス
山形県酒田市には「世界一デラックスな映画館」と称されたグリーン・ハウスがありました。「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」の名台詞で有名な映画評論家・淀川長治さんがそのサービスの充実ぶりに「世界一!」と絶賛したことで知られています。
ビロード張りの椅子、回転扉、バーテンダーのいる喫茶スペース、観客のための送迎車など、至れり尽せりの映画館だったそうです。しかし、昭和51年、酒田市中心市街地が大規模に焼失した酒田大火の火元になったことで、楽しく映画を観た思い出と共にいつしか人々の記憶の中に封印され、その後グリーン・ハウスを語ることはタブーになってしまいました。
私たちは40年経った今だからこそ語れることがあるはずと、この数奇な運命を辿った映画館について、当時を知る人々の証言を集め、その姿を復元すべくドキュメンタリー映画を作りました。それが『世界一と言われた映画館 酒田グリーン・ハウス証言集』です。
調査の過程で出会った、グリーン・ハウスを愛する人たち。働いていたチケットガールや映写技師の方はもちろん、酒田大火の際、グリーン・ハウスの消火にあたった元消防士の方(『タワーリング・インフェルノ』が大好きで、なんとグリーン・ハウスで2回観ていたそう)や、大火で被災した酒田市出身の歌姫白崎映美さん、グリーン・ハウスからの出火を目撃した伝説のバーテンダーなど、当時を知る方々の貴重な証言が多数登場します。
8mmフィルムとして残されていた館内でのイベントの様子なども収録し、往時に想いを馳せながら華やかなりし時代の伝説の映画館を見ることができます。
ナレーションは大杉漣さんが担当
この作品でナレーションをつとめてくださったのは俳優の大杉漣さんでした。突然の訃報に日本全国が悲しみに暮れたのも記憶に新しいところ。映画ナレーションの最後のお仕事が本作でした。
そもそもこの映画に大杉さんが関わってくれたのは、さまざまな縁が結びついた結果でした。本作の監督である山形県天童市在住の映画作家・佐藤広一さんと大杉さんが約20年前に映画制作の現場で出会っていたこと。偶然にも山形放送のラジオドラマでグリーン・ハウスの支配人だった佐藤久一氏の役を大杉さんが演じており、以前からその人生に強い関心をお持ちだったこと。シネマパーソナリティーの荒井幸博さんが、たまたま大杉さんと佐藤監督、両者ともに親しい関係にあり、その間を取り持ってくれたこと。
どれか一つが欠けても実現しなかったこのナレーション録りについて、佐藤監督は「運命的な何かが働いたとしか思えない」と、当時の様子を振り返ります。
「グリーン・ハウスのような既に失われたものを映画にすると、どうしても資料的なものになりがち。でも大杉さんのナレーションが入ったことで、はじめて血が通った映画になった気がする」
佐藤監督は感慨深い表情でそう言いました。酒田大火の火元となったことで40年にわたりタブー視されてきたグリーン・ハウス。残された資料と当時を知る人たちの証言だけで映画を紡ぐのは至難の技だったそうです。しかし、大杉さんの落ち着いた温かみのある声が、作品に確かな彩りと存在感を与えてくれました。
ナレーション録りでは、台本上の「幸福」という言葉を「ここは“しあわせ”と読もう」と提案してくれるなど、作品に対して「とても気配りのある人だった」そうです。
こうした人柄が溢れた大杉さんの声があるからこそ、深い愛情と共に語られる失われた映画館の思い出は、観る者の心にしっとりと沁み渡り、それぞれの記憶の一部となって、語り継がれていくことになるのではないでしょうか。この映画が映画館という空間を愛する全ての人たちに届くことを期待しています。
(文責:山形映画祭事務局)
11月9日[金]〈山形ドキュメンタリー道場 2018〉
東南アジアの映画作家が蔵王に滞在し、作品に磨きをかける「山形ドキュメンタリー道場」に参加中の監督をお招きしての特別上映会。マレーシア各地の独立・革命運動の歴史を探るノーヴァ・ゴー監督の『赤道雨』。インドネシアの新婚夫婦が、家族の強い絆とアイディアで困難を乗り越えようと頑張る『デノクとガレン』。2本立てでの上映です。もちろん上映後には監督たちによるトークもあります!
『赤道雨』 15:00-(1回上映 ※開始時間注意)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2011 アジア千波万波 上映作品
監督:呉康豪(ノーヴァ・ゴー)/マレーシア、台湾/2010/132分
作品紹介:
母からの手紙で、親戚の過去と、故郷ボルネオ島で革命運動が起きていた事実を知った監督。マレーシア各地での独立運動、その後、革命運動に身を投じた元闘士の話を掘り起こし、忘れ去られていた歴史を明らかにしていく。回想と並行し、当時の山中での軍事訓練と生活を記録したプライベート・ビデオからは、今では普通の生活を送る彼らの青春が蘇る。侵略の歴史の舞台を引用しながら、赤道直下に生きる華人アイデンティティを探る。
監督のことば:
私は自分のことを、映画監督というより、むしろコレクターだと思っている。ただし、物を集めるのではなく、物語を集めるコレクターだ。そんな私のカメラの前に現れた共産主義者たち。彼らの物語のなんとすばらしいことか! 半世紀もの間、続いていた革命という動乱の時代にあっても強い信念を持ち、美しい夢を心から信じていた。失敗に終わったが、時の流れの中には、美しい何かが残されてきた。彼らは道を行く普通の人々とまったく変わらないように見える。しかし、彼らの目をのぞきこむと、違いがそこにはある。絶対に彼らから奪うことのできない何かがそこにあるのだ。彼らは、人知を超えたスペクタクルを経験した。
どんな革命においても、「すばらしい世界」を実現することはできない。しかし、どのような革命でも、すばらしい何かを生みだすことができる。そして革命が終われば、そこにはすばらしい思い出が残る。人々が革命を信じているかぎり、決して消えることのない思い出だ。
呉康豪(ノーヴァ・ゴー)
『デノクとガレン』 18:40-(1回上映 ※開始時間注意)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2013 アジア千波万波 上映作品
監督:ドゥウィ・スジャンティ・ヌグラヘニ/インドネア/2012/89分
作品紹介:
14歳で家出をしたデノクは、妊娠した後にガレンと出会い、結婚する。大都市を離れ、夫の実家で家族と一緒の生活を始めた若い夫婦は、心機一転、養豚ビジネスを始める。借金を残して出奔したガレンの父、子どものしつけや教育費、次々と起きる問題に頭を悩ませながらも、夫婦兄弟それぞれがとことん話し合い、ユニークなアイデアで解決しようと頑張る。ときには本気の喧嘩をしながらも、強い絆で結ばれた一家は、どこか楽天的な雰囲気に満ちている。
監督のことば:
私は個人的に、デノクとガレンの人生からたくさんのことを学んだ。愛する気持ち、次から次へと襲ってくる問題を受け入れ、正面から立ち向かう姿勢。そして自分自身と自分の人生を笑い飛ばす勇気。そのような勇気を持つ人は多くない。自分を笑うという行為は、自分の人生をはるか遠くから客観的に眺めることを意味する。だからこそ私は、デノクとガレンを賞賛せずにはいられない。彼らが日々苦闘する姿は観客に届けられるべきだ。彼らの勇気は、彼らふたりを、心を込め誠実に描いた映画を通して、観客と共有されるべきだ。私はデノクとガレンを、私たちの知覚の中枢へと送り込みたい。なぜなら、彼らのような存在は、近くにいても多くの場合、見過ごされてしまうからだ。
ドゥウィ・スジャンティ・ヌグラヘニ
[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp
10月26日[金]〈痛みと記録と物語〉
今回は、過去のインターナショナル・コンペティション作品の中から、パレスチナ人の苦悩と、ナチス占領下のポーランドの歴史を描いた2作品を上映します。1991年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞を受賞したミシェル・クレフィ監督の『石の賛美歌』、第1回目の1989年の映画祭のインターナショナル・コンペティションにて上映したアラン・アデルソン、キャスリン・ダヴェルナ両監督による『ロッツ・ゲットー』。2本立てでの上映です。お見逃しなく!
『石の賛美歌』 14:00- 19:00-(2回上映)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’91 インターナショナル・コンペティション 特別賞
監督:ミシェル・クレフィ/ベルギー/1990/105分
作品紹介:
『石の賛美歌』は亡命の悲劇について扱っている。映画の国籍はベルギーとなっているが、正しくはパレスチナであろう。イスラエルの街を舞台に、この映画はその土地から切り離すことのできないアイデンティティをもつパレスチナ人であることが、どういうことかを探求しているので。ここでは彼らの生きている土地そのものが闘争の場所であり、石が武器となっている。パレスチナ人であることは自国に亡命しているようなものだ。この映画の中心となるものは恋人の一人が海外亡命から戻ってきた時の恋人同志の再会というフィクションの部分であるが、もっとも印象的なシーンはドキュメンタリーの部分で街に出向いているところである。監督はさりげなくフィクションからドキュメンタリーへと転換させる。これは簡単に劇映画にすることができたかもしれないが、唯一ドキュメンタリーだけが占領された地域の中でのパレスチナ人の日常生活の真の緊張を捉えることができた。同時にクレフィ監督はドキュメンタリーの場面の暴力的な側面をより鮮明に浮かび上がらせるため、このカップルの会話を利用する。『石の賛美歌』のフィクションとドキュメンタリーは交錯し相互に浸透しあう。つまり、この映画の最大の魅力は一方が欠けては、考えられないということである。
(YIDFF ’91 公式カタログより)
監督のことば:
『石の賛美歌』は今日のパレスチナにおける人間の痛みについての映画である。
この映画のすべての主役の人々は占領の痛みから生き延びるため何かを犠牲にしてきた。それはあたかも人間がその尊厳をとりもどすためには何かを失うか、それとも暴力のばからしさに気がつく前に傷ついて参ってしまうという運命から逃れられないかのようだ。私たちが世界について考えをめぐらすことができるようになるには集団虐殺ぎりぎりのところまでいかなければならないのか? 犠牲者が死刑執行人にならない方法はないのか?
苦悩の中の愛の物語と事実の部分を併置することにより、他人を何か抽象的なものと認識することとは反対の映画的場面となっている。私たちが証言したかったことはそのような認識に抵抗することである。
ミシェル・クレフィ
『ロッツ・ゲットー』 16:10-(1回上映)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’89 インターナショナル・コンペティション 上映作品
監督:アラン・アデルソン、キャスリン・ダヴェルナ/アメリカ/1989/103分
作品紹介:
ポーランド映画『無敵の人々』と同様、この作品もスチール写真とニュースフィルムから構成されており、淡々と、それでいてパワフルに、この時代の歴史を再現している。この作品のテーマは、第二次世界大戦とホロコーストである。ポーランドを占領したナチス・ドイツが、20万人のユダヤ人を強制収容所に集め、奴隷として使役する。この時、ゲットーにいたユダヤ人は年配の指導者に征服者の意のままになるよう、説得される。最後に生き残ったのは、わずか800人。ほとんどの者がだまされて死の列車に乗せられたとき、屋根裏や地下室に隠れることを選んだ者たちだ。映画製作者は、日記・手記・写真、そしてナチス自らが撮影したニュースフィルムを含む膨大な資料を、一種の“サスペンス・ドキュメンタリー”に仕上げている。ちなみにナチスの代弁者として利用された年老いた指導者の声を演じるイェジィ・コシンスキをはじめ、ナレーションはすべてプロの俳優によるもの。
(YIDFF ’89 公式カタログより)
監督のことば:
この作品は、フィクションとドキュメンタリーとをつなぎ合わせたユニークな作品である。見る人をすっぽりと包み込むドラマ感覚と、フィクションの特徴である明確なストーリー展開があり、登場する人々がフランクに語る声は存在感がある。そのようなフィクション的な面があるとしても、この作品は最も良心的に製作されたドキュメンタリー映画としての迫力とリアリティーを持っている。死を宣告された人々が生命をかけて撮影し、残した膨大な記録が、今から40年以上前に突然、鉄条網に囲まれた町に強制的に入れられ、奴隷のように使役された上、飢えに苦しみ、外界からの情報が手に入らない生活を強制されたことに、どのような意味と背景があったのかを理解する糸口を与えてくれるはずだ。
[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp
10月12日[金]〈アメリカを旅する〉
今回のテーマはアメリカ。過去のインターナショナル・コンペティション上映作品の中から「現代アメリカ」をあぶり出す2作品をチョイス! 1991年の山形映画祭より、レア・プール監督作品『ホテル・クロニクル』と、1989年の記念すべき第1回目のインターナショナル・コンペティションより、ジョン・ジョスト監督による『プレーントーク&コモンセンス』を上映します。どちらも山形映画祭初期を彩った貴重な作品です。オリジナルの16mmフィルムによる上映をお楽しみください。
『ホテル・クロニクル』 14:00- 19:00-(2回上映)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’91 インターナショナル・コンペティション 上映作品
監督:レア・プール/カナダ/1990/74分
作品紹介:
この映画ではいくつかの作品が二重写しになる。例えばタイトルからそのもじりだと連想されるサム・シェパードの詩文集『モーテル・クロニクルズ』。さらにそのイメージと切り離せない映画『パリ・テキサス』(脚本家の一人がサム・シェパードだ)。ともに路上の文字、路上の映画であり、とりわけ『モーテル・クロニクルズ』のエクリチュールは『ホテル・クロニクル』のスタイルそのものである。
映画が描くケネディやキングやモニュメントヴァレー、あるいは人々の語る様々なアメリカンドリームは外側から眺めたアメリカ像にすぎないという意見もあるかもしれない。しかし、この外側の視点の戯れは排除するのではなく、逆に様々な水面下の作品を呼び寄せることを可能にした。こうした作品相互の乱反射は、ナレーションの詩的なことばと相まって、観客を不思議な夢へと誘う。
(YIDFF ’91 公式カタログより)
監督のことば:
これは私にとって二つの意味での挑戦である。一つにはこの10年間フィクションを製作し続けてきて、これからドキュメンタリーに取りかかりたいと思っていたこと、もう一つにはヨーロッパからカナダに移住してから15年が経ち、アメリカについて語ってみたかったこと。私はその申し出に興味をもち、引き受けるつもりだ。しかし、そのためには正直にならなければならない。私は本当の意味でのアメリカを知らない。私の知っていることは、自分が成長していく時に人から聞いたアメリカの話、アメリカの神話、旅行者がベデガー旅行書を引っ張り出し、仮説に基づき、想像の上で外国の土地の旅の道のりを決める気持ちぐらいなものである。私はよそ者で、その上、恋人とも、アメリカとも難しい関係のただ中にいる。ホテルからホテル、町から町へとめぐり、窓の後ろに一瞥の真実を捉えるが、一方自分の存在については完全に理解したくなく、明らかにしたくなく、理由づけたくない。
私はアメリカを、出会いおよび悟りの道として見る。しかしまた、何かを解体してしまう行為としても見る。ちょうど痛みをともないながら苦い現実を悟っていく過程のように、多分アメリカは私の人生の反映なのかもしれない。
レア・プール
『プレーントーク&コモンセンス』 15:40-(1回上映)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’89 インターナショナル・コンペティション 上映作品
監督:ジョン・ジョスト/アメリカ/1987/117分
作品紹介:
この作品は、砂漠の中で二つの国境線が交差し、アメリカの4つの州が接する地点における、説明的なシーンから始まる。旅行者が何やらわけの分からない言葉でわめくが、字幕によって意味が通じるようになっている。シーンはそのまま切れ目なく続くのだ。性急な観客なら、映画館から出ていきたい衝動にかられる。しかし、それでは、ほんとうに魅力的な作品を見逃すことになってしまう。ジョストはこの自作を“エッセイ”と呼ぶ。作品は11のパートから構成され、現代アメリカの状況への問いかけがなされている。それは風刺的であり、しかも修辞的である。また、グラフィックでもあり、単なるフォトジェニックでもある。確かに状況に対する批判であるが、そこには深い理解と共感が秘められており、それが題名に現れている。最後のシーンでは、ジョスト自身が登場し、AV時代の映画の中では、おそらく最もラジカルな演説を行っている。
(YIDFF ’89 公式カタログより)
監督のことば:
私の作品は、私たちが“アメリカ”というとき、あるいはもう少し条件を広げてどこかの国や文化について語るとき、それがどういう意味を持っているのかを理解する基盤を提示しようと試みているエッセイ・ドキュメンタリーである。アメリカの文学と思想の歴史と伝統に深く根づいたこの作品は、“アメリカ的なもの”を広範囲に引き出す。フォークロアからアメリカ社会政治学的な思想の詩的表現、アメリカの言葉の歴史、さらに政治および企業の宣伝や統計調査へと目を向けていく。この作品はいってみれば提示された情報に関して観客が自由に論じる場を提供するものである。そして、私は最終的には自らの行動の責任はその個人にあり、人の集まりに対する責任、ひいては自分がその一部を形成している文化および社会における行為の責任もまた個人にあるという考え方を基本にしているのだ。
ジョン・ジョスト
[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp
8月24日の金曜上映会+やまがた市民映画学校〈柳澤壽男と福祉映画〉『そっちやない、こっちや —コミュニティケアへの道—』上映とトーク
8月24日、故柳澤壽男(やなぎさわ ひさお)監督の福祉5部作の4作目にあたる『そっちやない、こっちや』の上映と、柳澤監督論を中心としたトークが行われました。柳澤監督は、1993年の「アジア千波万波」で審査員をつとめていただくなど、本映画祭ともゆかりがあります。今回トークをお願いしたのは、デザイナーであり映画評論家でもある鈴木一誌(すずき ひとし)さん。フレデリック・ワイズマン監督の評論などでも素晴らしい活躍をされています。
鈴木一誌さんは、2012年1月、東京神田のアテネフランセ文化センターで、「ひとには、そのひと特有のリズムがある 柳澤壽男作品を語る——柳澤壽男 福祉ドキュメンタリー作品特集」という大変聞き応えのある講演を行なっていらっしゃいました、1作だけぽつんと観てもなかなか伝わりにくい柳澤作品の魅力を語ってもらうには、この人が最適との思いがあり、オファーさせていただきました。大変快く引き受けていただけたことが嬉しかったです。トークは、柳澤監督に関する書籍の編さん作業の中から発見された事柄なども盛り込み、とても興味深いものになりました。
今回の上映の企画は、昨年の山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 での、とある出会いから始まりました。会場のひとつである山形美術館前には、福祉施設「わたしの会社」の桜舎(さくらや)が軽食や飲み物の屋台を出店してくれていました。たまたまそこでパンを買った鈴木一誌さんが、ホテルに戻ってその空袋を捨てようとした時、あることに気がつきました。なんとその袋にデザインされた文字列は、一枚一枚、手描きされたものだったのです。普通なら印刷袋と考えて捨ててしまうところを、デザイナーである鈴木さんは、無地の袋に色鉛筆で描かれたものだと気が付いたのです。まさに、ふたりのアーティストの出会いの瞬間ともいえます。
ちょうど柳澤監督の全貌をまとめた書籍『そっちやない、こっちや 映画監督・柳澤壽男の世界』(新宿書房)のブックデザインを手がけていた鈴木さんは、タイトルのデザインには手描きのものが良いなと考えていたところだったそうです。そこで早速「わたしの会社」に連絡を取り、袋に文字を描いた施設利用者の女性、遠藤綾(えんどう あや)さんを紹介してもらい、彼女に描いてもらった「そっちやない、こっちや」の文字を題字に使うことになりました。
さらに聞くこところによると、「わたしの会社」では35年前に開設1周年を記念して、『そっちやない、こっちや』の自主上映会を開催し、なんと柳澤監督をお招きしていたというのです。そしていつかまた『そっちやない、こっちや』を上映したいと考えていたのだそうです。不思議な縁とは重なるもの。本の題字が作られたり、上映会が開かれたりと、こうした結びつきが育んだ人と人との豊かな関係性が、ヤマガタの魅力になっていると思います。
今回の鈴木一誌さんによるトークの採録は、近日中に本映画祭公式サイトに掲載予定です。ご期待ください。
(山形映画祭理事 桝谷秀一)
恒例の山形映画祭東京上映「ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形 in 東京 2018」!
山形国際ドキュメンタリー映画祭の開催の翌年に行う恒例の東京上映会企画。インターナショナル・コンペティション、アジア千波万波などのメインプログラムはもちろんのこと、フレディ・M・ムーラー特集、日本プログラム、アフリカ特集など、各特集プログラムの一部も上映します。さらに独自のプログラムも加えて、上映総数は70作品以上にも上ります。
ドキュメンタリー・ドリーム・ショー 山形 in 東京 2018
●10月6日[土]〜10月26日[金]
新宿 K’s cinema にて
詳細情報は近日公開予定です!
[会場]K’s cinema(東京都新宿区)
[主催]シネマトリックス
[共催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭、K’s cimena
[助成]芸術文化振興基金
[問い合わせ]phone: 03-5362-0671(シネマトリックス)
YIDFF 2019 プレイベント × 山形ビエンナーレ 2018 コラボ企画「シネマ通りの夜」開催!
今年もやります! 「シネマ通りの夜」! かつて複数の映画館が林立し、映画を楽しむ人々で賑わいを見せた山形市七日町の「シネマ通り」。しかし、いまやその通りには映画館が1館もなくなってしまいました。そんな「シネマ通り」に再び映画の灯火を、と企画されたのがこの映画上映とトークの夕べ「シネマ通りの夜」です。
「シネマ通りの夜」は2016年に引き続き、2回目の開催です。東北芸術工科大学が主催するみちのおくの芸術祭「山形ビエンナーレ」とのコラボイベントとして行われています。「山形ビエンナーレ」は映画祭の開催がない偶数年に行われます。ですから、山形国際ドキュメンタリー映画祭開催のちょうど1年ほど前というタイミングで、来年の開催をお知らせする絶好の機会なんですね。地元で行われる芸術祭を盛り上げつつ、芸術祭にいらっしゃった方々にも映画祭を知ってもらうことができるということで、過去に映画祭で上映された作品から選りすぐりを上映し、「山形ビエンナーレ」で来形しているアーティストの方々と語らい合う場を設けています。
この「シネマ通りの夜」の面白さ、その醍醐味はなんといっても「山形ビエンナーレ」の開催テーマである「山のような」に合わせてセレクトされた作品と、招聘アーティストの皆さんとの楽しいトークです。今回もスペシャルなゲストの皆さんにお越しいただきます。「山形ビエンナーレ」の芸術監督であり、絵本作家でアーティストの荒井良二さん、写真家で映画作家でもある茂木綾子さんとしょうぶ学園園長福森伸さん、東北芸術工科大学理事長で日本を代表する映画監督である根岸吉太郎さんという豪華な顔ぶれ。上映後のクロストークではいったいどんなお話が飛び出すのか、今からとても楽しみですね!
「シネマ通りの夜」 第1夜
●9月7日[金] 19:00〜
上映作品:『ドンキー・ホーテ』
アフタートーク:荒井良二(アーティスト・絵本作家/山形ビエンナーレ芸術監督) + ドキュ山ユース(山形国際ドキュメンタリー映画祭高校生ボランティア)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 インターナショナル・コンペティション 上映作品
監督:チコ・ペレイラ/スペイン、ドイツ、イギリス/2017/86分
監督インタビュー
◆作品紹介
南スペインの自然豊かな村で質素な生活を送っていたマヌエルは、73歳にして残りの人生を賭けた壮大な旅への出立を決意する。愛するロバと犬を相棒に、スペインからアメリカへ。かつてチェロキー・インディアンが辿った3,500キロにおよぶ「涙の旅路」を踏破するのが目的だ。心臓疾患、関節炎、老いが蝕む体の痛みも何のその、医者の制止すら振り切って、過酷な冒険は続く。旅の過程で育まれる動物たちとの種族を超えた友情。果たして彼らはアメリカに辿り着けるのか? 老いてなお自由に、「ありのまま」を生きる姿を讃えるロードムービー。
「シネマ通りの夜」 第2夜
●9月14日[金] 19:00〜
上映作品:『幸福は日々の中に。』
アフタートーク:茂木綾子(写真家・映画監督) + 福森伸(しょうぶ学園園長)
監督:茂木綾子、ヴェルナー・ペンツェル/日本/2016/73分
◆作品紹介
園生が楽器を弾き、叩き、叫ぶ。ひたすら布と糸と遊ぶ。そして魅力に溢れた多様なクラフトワーク。美しい園内には、アトリエに加えて、カフェレストラン、ベーカリー、蕎麦屋が点在し、今日も園外からのお客様が引きも切らない。ここには、これまで私たちが見たことがない風景が広がっている。きれい事ではすまされない福祉事業の運営において、しょうぶ学園が取り組んできた活動は、今を生きる私たちにさまざまな問いを投げかける。普通ってなに? 優しさってなに? 改めて自らを見つめ直す73分。
「シネマ通りの夜」 第3夜
●9月21日[金] 19:00〜
上映作品:『頑固な夢』
アフタートーク:根岸吉太郎(映画監督/東北芸術工科大学理事長) + 日下部克喜(山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局長)
山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’91 ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)受賞作品
監督:ソボリッチ・ベーラ/ハンガリー/1989/93分
◆作品紹介
ひなびた国境近くのハンガリーの小さな村ラーバジャルマトでは、70年にも及ぶ演劇サークルの活動が続いている。団員の大多数は素朴な普通の、辛い労働をしてきた人々で、彼らの顔や手にはその歴史が深く刻み込まれている。年に一度の上演が間近に迫り、練習は熱が入って夜明けを迎えた。束の間なら誰もがスターになれる。こうして、古風なロマン主義とノスタルジアが漂う村の祭りは、芝居の上演で頂点に達する。
[会場]KUGURU(山形市七日町2-7-23 とんがりビル 1F)
[料金]1ドリンク付1回券 前売1,200円/当日1,500円
前売券予約:山形ビエンナーレ ライブ&トーク予約ページ
※チケットシステム「Peatix(ピーティックス)」を使用しています。お申し込みの際に、Peatixアカウントを作成するか、Twitter / Facebook / Google アカウントでのログインが必要となります。
※前売券、当日券ともに会場受付で現金支払いとなります。
[企画]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭、堀賢一郎
[協力]福森伸(しょうぶ学園)、相澤久美(サイレントヴォイス)
[問い合わせ]phone: 023-666-4480(山形国際ドキュメンタリー映画祭事務局)