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「全国コミュニティシネマ会議 2018 in 山形」が開催されます

「全国コミュニティシネマ会議 2018 in 山形」が開催されます

全国のミニシアターや自主上映団体などの映画上映者が一同に会し、情報交換と研究報告、交流を行う「全国コミュニティシネマ会議」。今年は山形市での開催になります。

 

2017年に山形市がユネスコの創造都市ネットワークに映画分野で加盟したことを受けまして、今回2回目の開催地となりました。

全国コミュニティシネマ会議 in 山形
●9月28日[金]

13:15〜13:45
開催上映:“ピアノ de シネマ”
サイレント映画の傑作『国士無双』と、懐かしい山形の映像を、柳下美恵さん(サイレント映画ピアニスト)の演奏付でお楽しみいただけます。

『国士無双』[デジタル復元版/英語字幕付]
1932年/伊丹万作監督/16分(※映写スピード1秒間24コマで上映)/35mm/国立映画アーカイブ所蔵
協力:国立映画アーカイブ

山形市広報フィルム『山形まつり昭和30年版』
抜粋4分/DVD

13:45〜15:45
やまがた創造都市国際会議2018

映像文化創造都市の可能性—“映画”が都市を魅力的にする
2017年10月、山形市は、ユネスコ創造都市ネットワーク・映画分野に日本で初となる加盟を果たしました。山形市はどのような“映像文化創造都市”を目指しているのでしょう。映像文化でまちづくりを行う英国・ブラッドフォード、韓国・釜山市の事例を聞きながら、“映像文化創造都市”の可能性を探ります。

佐藤孝弘(山形市長) 日本・山形市
人口約25万人。山形市では、古くから映像文化をはじめとした多彩な文化や芸術が育まれてきました。長年、市民が様々な面で映画に深くかかわってきた歴史や背景に加え、2019年に30周年を迎える山形国際ドキュメンタリー映画祭や、山形国際ムービーフェスティバル、フィルムコミッション、アート系大学、プロオーケストラ、伝統工芸、食文化など、多様な文化遺産が育まれています。ユネスコ創造都市ネットワークへの加盟を契機に、文化の力においても産業・観光・教育などの振興や、交流人口の増加も図りながら魅力ある街づくりを目指しています。

デヴィッド・ウィルソン(ブラッドフォード創造都市ディレクター) 英国・ブラッドフォード市
イングランド北部・ウェスト・ヨークシャー州にある都市。人口は約52万人。ブラッドフォードは、2009年に世界で初めて、ユネスコ創造都市ネットワーク・映画分野で認定を受けた都市です。イギリスの映画・テレビの主要ロケ地になることも多く、市内には「国立メディア博物館」があり、「ブラッドフォード国際映画祭」「ブラッドフォード・アニメーション映画祭」が開催されるほか、自主上映団体の活動も盛んに行われています。小中学生の映画教育にも力を入れており、ブラッドフォード大学等には映画の専門職を育成する授業もあります。子どもから高齢者まで、様々な世代の人が映画に親しむ機会を提供しています。

キム・ヒョンス(プサン・コーナーシアター代表) 韓国・釜山(プサン)市
韓国南東部に位置する、首都ソウルに次ぐ韓国第二の都市。人口は約345万人。釜山は、韓国で初めて映画が上映された都市。アジア最大の映画祭である釜山国際映画祭の成功を受けて2011年には映画振興の拠点「映画の殿堂(釜山映画センター)」がオープンしました。釜山は、韓国の映像クリエイティブ産業の中心であり、映像振興に関わる様々な企業、機能、組織が釜山に拠点を移しています。国際的な、大規模な事業を展開するだけでなく、市民に向けても、あらゆる世代の多様なコミュニティに属する市民が映画に関する活動に参加できるような様々な事業を実施しています。

ユネスコ創造都市ネットワーク(UNESCO Creative Cities Network)
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)は、文化の多様性を保持するとともに、世界各国の文化産業が潜在的に有している可能性を都市間の戦略的連携により最大限に発揮させるための枠組みとして、2004年より「創造都市ネットワーク」事業を開始。工芸、デザイン、映画、食、文学、音楽、メディアアートの7つの分野で創造都市を認定し、相互の交流を推進しています。山形市は、2017年10月に、日本で初となる映画分野で創造都市の認定を受けています。

16:00-17:45
プレゼンテーション+ディスカッション
映画上映の現在と未来―映画配信時代の上映
2013年から本格稼働した映画配信は、わずか5年でレンタルビデオ市場と肩を並べ、来年度には全国興行収入を超えると言われています。地域格差なしに、月額1000円弱で数万タイトルを、自宅のTVリモコン操作で鑑賞できる、映画ファンには理想的なアーカイブの環境が整えられ、映画製作にも本格的に参入する配信サービスは、今後、映画館、公共上映、映画祭にどんな影響を与えるのでしょう。海外の現状や現在の上映活動の現状を聞き、配信時代の上映について考えます。
プレゼンテーション|データでみる地域の映画環境(コミュニティシネマセンター)
ディスカッション|
梶原俊幸(横浜シネマ・ジャック&ベティ)、三宅洋一郎(野村総合研究所上級コンサルタント)、矢田部吉彦(東京国際映画祭プログラミング・ディレクター) /司会:堀越謙三(ユーロスペース代表)

18:00-18:45
プレゼンテーションマラソン in 山形
ドキュ山ユース(山形国際ドキュメンタリー映画祭/高校生)、山形国際ムービーフェスティバル/MOVIE ONやまがた、フォーラム山形/山形県映画センター、鶴岡まちなかキネマ、山形大学映像文化研究所、米沢伴淳映画祭、山形市創造都市推進協議会、福島県南相馬市「朝日座」、山の恵みの映画たち ほか

19:00-20:45
レセプション

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9月29日(土)

10:00-12:00
分科会
①地域の映像アーカイブとその活用について[定員:30人]
東日本大震災から7年半が経ちました。この大きな災害は、私たちに映像を遺すことの大切さ、映像アーカイブの重要性を改めて認識させました。“アーカイブ”に対する関心は年々高まりを見せています。山形市の「311ドキュメンタリーフィルム・アーカイブ」、せんだいメディアテークの「3がつ11にちをわすれないためにセンター」の活動を聞き、地域映像アーカイブについて考え、上映者としてどのような活用ができるのかを考えます。
石原香絵(NPO法人映画保存協会(FPS))、坂本英紀(NPO法人20世紀アーカイブ仙台)、田中千秋(せんだいメディアテーク)、畑あゆみ(山形国際ドキュメンタリー映画祭)、小川直人(せんだいメディアテーク)[司会]

②Fシネマで行こう!―フィルムの上映を企画しよう!(Fシネマ・プロジェクト)[定員:30人]
フィルムの映写機はあるのにほとんど使っていない、せっかくフィルム上映をしてもなかなかお客さんが集まらない、映画祭でフィルム上映をやりたいけどどうすればいいの?…そんな人たちの悩みに応える分科会です。大きな映写機がカタカタ回るフィルム上映は楽しいものです。フィルムでしか上映できない魅力的な映画もたくさんあります。「Fシネマ」で上映会を盛り上げましょう!
田井肇 (大分・シネマ5)、杉原永純(山口情報芸術センター)、柳下美恵(サイレント映画ピアニスト)、鈴木直巳(鈴木映画)、岩崎ゆう子(コミュニティシネマセンター)

③若年層の観客を開拓する―大学生・高校生と映画館[定員:30人]
「観客の高齢化」、「若い人がこない」……地域の映画館、映画祭、上映者が抱える最も大きな課題のひとつが、“若年層の観客開拓”です。そんな中、授業の一貫として映画館で上映会を実施する大学が少しずつ増えています。シネコンしか知らない、行かないという若者たちに、地域の映画館や上映会の魅力、面白さ、多様な映画をみる楽しさを伝えるためには何が必要なのか、真剣に考えてみましょう。
古賀太 (日本大学芸術学部)、遠藤徹+ドキュ山ユース(山形国際ドキュメンタリー映画祭)、上田真之(早稲田松竹)、土田環(早稲田大学基幹理工学部)[司会]

④劇場の運営効率化を現場レベルで考えよう![定員:30人]
近年、映画館の上映作品は飛躍的に増えており、1スクリーンで年間100本以上を上映するのはごく当たり前になっています。上映本数は増えても劇場を運営するスタッフは増やせない…。「映画」を取り巻く大きな渦の中で、映画館の現場ではどんなことが起きているのでしょう。どうすれば、個々の作品の広報宣伝を丁寧に行う時間を生み出せるのでしょう。チケットの発券システムや売り上げの管理、勤怠管理等々、いろいろな映画館が実践している運営方法を共有し、よりよい「何か」を見つけましょう。
吉田由利香 (京都みなみ会館)、林未来(元町映画館)

④上映初心者のための分科会~上映会企画ワークショップ[定員:15人]
映画を上映したい、映画で人を集めたい、映画でイベントを盛り上げたい、映画で雰囲気を作りたい…!
上映会を企画・実施するためには、作品の選定、配給会社との交渉、会場確保、上映機材(映写スタッフ)の準備、予算の作成(助成金の申請)、広報宣伝等々、様々な作業が必要です。この分科会では、参加者は事前に上映企画について簡単なワークシートを提出し、ワークショップ当日には、その講評を受けるとともに、上映会実施に向けた基本的な流れ、上映会を成功させるために必要なことを学びます。
宮沢啓 (山形県映画センター)、小川茉侑(コミュニティシネマセンター)

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開催記念上映会[Fシネマ・プロジェクト]
会場:フォーラム山形 シアター5

今年4月5日に亡くなった高畑勲監督は、山形市を舞台に『おもひでぽろぽろ』を撮りました。高畑勲が宮沢賢治の原作をもとに、スタッフとともに5年の歳月をかけて作り上げた音楽映画『セロ弾きのゴーシュ』を35ミリフィムルで上映します。また、『よみがえりのレシピ』『おだやかな革命』など山形でドキュメンタリー映画を撮り続ける渡辺智史監督が、酒田市の伝説のバーテンダーを追った最新作『YUKIGUNI』をプレミア上映します。

14:30-16:00 セロ弾きのゴーシュ *チェロ・ミニコンサート付
1982年/監督:高畑勲/63分/35ミリ
高畑勲が宮沢賢治の原作をもとに、スタッフとともに5年の歳月をかけて作り上げた音楽映画。35ミリフィルムで上映!
あわせて、現在山形交響楽団チェロ奏者として活躍するチェリスト久良木夏海さんのミニコンサートも。

16:30-18:30 YUKIGUNI *プレミア上映₊渡辺智史監督挨拶
2018年/監督:渡辺智史/ビデオ/87分/英語字幕付 撮影:佐藤広一 ナレーター:小林薫
伝説のカクテル「雪国」の創作者 井山計一。92歳・生涯現役バーテンダー人生を見つめたドキュメンタリー。

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全国コミュニティシネマ会議2018 in 山形
開催日:2018年9月28日[金]、9月29日[土]
会 場:
9月28日 山形グランドホテル サンリヴァホール
9月29日 山形市総合福祉センター
参加費:
会議 1,500円
*コミュニティシネマセンター会員は会議のみ参加は無料(1団体1名)
*9月28日、29日共に参加可。一部のみの参加も同じ
*山形市在住者(在勤・在学含)は、9月28日会議のみ参加無料

レセプション 3,500円
映画上映 1プログラム1,000円

 

 

お問い合わせ:
コミュニティシネマセンター TEL:050-3535-1573 e-mail:film@jc3.jp

主催:
文化庁委託事業 平成30年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業
一般社団法人コミュニティシネマセンター
全国コミュニティシネマ会議2018山形実行委員会
山形市創造都市推進協議会(やまがた創造都市国際会議2018)
協力:山形市、認定NPO[法人山形国際ドキュメンタリー映画祭

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2019 始動!

次回、山形国際ドキュメンタリー映画祭 2019 の開催は10月10日から17日までの8日間!

先日、8月21日に山形市で記者会見を行い、来年の開催日程を正式に発表しました。

 

「山形国際ドキュメンタリー映画祭 2019」記者会見の様子

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2019
2019年10月10日[木]〜10月17日[木] 【8日間】

次回も10月の三連休を間に挟んだ形での開催になります。
それに合わせて、インターナショナル・コンペティションとアジア千波万波の2つのコンペ部門について、作品募集日程と募集ポスターのデザインも発表しました。

 

「山形国際ドキュメンタリー映画祭 2019」作品募集ポスター

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2019 作品募集
9月1日より募集開始

●インターナショナル・コンペティション
第1次締切:2018年12月15日(2018年10月31日まで完成の作品)
第2次締切:2019年4月15日(2018年11月1日以降完成の作品)

●アジア千波万波
2019年5月15日

※締切日はすべて消印有効

作品募集は今年の9月1日から始まります。世界中から寄せられる作品群の中から予備選考を経て、インターナショナル・コンペティションでは15作品、アジア千波万波ではおよそ20作品が上映作品として選ばれます。この中から、映画祭開催期間中に国際審査員の厳正な審査によってロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)ほか、各賞が決まっていくことになります。

 

前回の山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 受賞者たち

山形国際ドキュメンタリー映画祭のメインプログラムであるこの2つのコンペ部門への作品募集開始によって、次回の映画祭開催に向けた具体的な動き、その第一歩を踏み出したことになります。世界各地から寄せられる作品群によって、来年の映画祭の「顔」になるメインプログラムが徐々に形づくられていくことになるでしょう。ちなみに前回の2017年開催時は、両コンペ部門合わせて、世界128の国と地域から1,791作品が寄せられました。今回もこれと同様か、それ以上の数の作品が集まってくることを期待しています。これからの半年間で、いったいどんな作品が集まってくるのか、いまからとても楽しみですね。

 

作品募集ポスターのデザインは東北芸術工科大学グラフィックデザイン学科の3年生の作品に決定!

会見時のフォトセッションの様子

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2019 作品募集ポスターのデザインは、東北芸術工科大学との連携のもと、グラフィックデザイン学科3年生20名の方々に取り組んでいただきました。このポスターデザインの制作については、学生の皆さんに毎年授業の一環として関わっていただいており、準備年は募集ポスター、開催年は本ポスターのデザインをということで、今回で9回目の取り組みになります。学内コンペで選出された10作品について、映画祭事務局とNPO法人理事で審査を重ねまして、今年は3年生の安部結(あべ ゆい)さんのデザインに決まりました。このデザインによるポスターとポストカードが、国内はもとより世界中に来年の映画祭の開催と作品募集を呼びかけます。

 

デザインコンセプトを語る東北芸術工科大学3年の安部結さん

安部結さんによるデザインコンセプトはこちらからお読みいただけます。

 

ロバート&フランシス・フラハティ賞(大賞)と小川紳介賞(アジア千波万波最高賞)の受賞作品は、アカデミー賞への応募資格を得ることができるようになりました。

山形国際ドキュメンタリー映画祭は、アカデミー賞の「長編ドキュメンタリー映画部門」公認映画祭となりました。これによって、今後インターナショナル・コンペティションの大賞(ロバート&フランシス・フラハティ賞)と、アジア千波万波の最高賞(小川紳介賞)に輝く2作品は、各年度のアカデミー賞に無条件で応募することができるようになります。アカデミー賞は、アメリカの映画館で公開済みであること、完成から2年以内の作品であること、ロサンゼルスまたはニューヨークの映画館で連続7日間以上有料上映された作品であること、こうした条件を満たさないと応募することができません。これに対して、山形国際ドキュメンタリー映画祭で2部門の最高賞を受賞した作品は無条件に応募することができるというのが今回のニュースでした(いわゆる「ノミネート」ではありません)。

これは、山形国際ドキュメンタリー映画祭に応募してくれる作家とその作品にとって、世界展開に向けた新しい可能性が拓けることにもつながります。これまで以上に多くの作品が山形に集まってくることを期待します!

来年の開催まで、あと1年です。国際映画祭を作る上では長いようでとても短い期間ですが、次回も多くのみなさんに驚きと発見をもってお楽しみいただけるよう準備を進めていきますので、これからも応援をよろしくお願いいたします。

 

(文責:山形映画祭事務局)

 

8月24日の金曜上映会+やまがた市民映画学校〈柳澤壽男と福祉映画〉

8月24日の金曜上映会+やまがた市民映画学校〈柳澤壽男と福祉映画〉

障害者と健常者が共生できる社会をめざし、模索し、差別と闘い続けた映画監督がいた!

松竹のチャンバラ映画で映画の道に入り、文化映画、PR映画等の制作を長年手がけ、50歳を過ぎて独立、83歳で亡くなるまで福祉の映画を作り続けた監督がいました。その人こそ映画監督柳澤壽男です。常に、障害者と健常者が共生できる社会をめざし、模索し、差別と闘い続けた人でもあります。

「福祉というのは、自発的意思を尊重することが出発点」が持論で、今でこそ一般的になったコミュニティ・ケア(地域福祉)という考え方が社会に根付く前から、障害者の意見をきき、それを作品に反映させた映画作りが魅力です。福祉5部作と呼ばれる作品群の中から、そんな監督の思いが特に結実したのが、今回上映する作品です。愛知県の療育グループの人たちが、親や指導員と共に共同作業所を作ってゆく姿をいきいきと描いています。

今回は、グラフィックデザイナー、ブックデザイナーであり映画評論でも活躍されている鈴木一誌さんをトーク・ゲストに迎え、柳澤作品の魅力について大いに語っていただきます。

今年2月、ドキュメンタリー作家柳澤壽男監督の全貌を網羅した本『そっちやない、こっちや』が出版されました。題字は昨年の映画祭が縁で、山形市内の福祉施設「わたしの会社」の利用者の女性が書いたものです。今回のトークでは、その経緯などについても語っていただく予定です。お楽しみに!

『そっちやない、こっちや コミュニティケアへの道』
15:00- 18:50-(2回上映)

トーク:鈴木一誌さん
17:15-(1回のみ)

 

『そっちやない、こっちや コミュニティケアへの道』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’97
特集プログラム「日本ドキュメンタリー映画の模索」上映作品

監督:柳澤壽男/1982/113分

作品紹介:

愛知県知多市の療育グループの記録。障害者や親たちの交流、グループが一体となって作業所「ポパイの家」を作り上げていく様子などを通じて、障害者にとってのコミュニティケアとは何かを考察していく。「撮りながら考え、考えながら撮る」原則のもと2年の歳月をかけて制作。山路ふみ子文化財団福祉映画賞受賞。

 

柳澤壽男(やなぎさわ ひさお)

1916年群馬県生まれ。松竹京都で劇映画演出を志すが『小林一茶』(1941年/亀井文夫)に感銘を受け、記録映画に転身、日本映画社、岩波映画などで多数のPR映画、ニュース映画を手掛ける。だが企業の宣伝活動を助けることに疑問を感じ、50歳を過ぎて独立、以後は障害者の生活とその苦悩を通して人間が自由に生きることとは何かを問う5作品を発表した。晩年は看護婦をテーマとした新作に取り組んでいたが、1999年6月16日、83歳にて急逝。当映画祭には1989年の第1回より参加、1993年にはアジア・プログラムの審査員を務めていただくなど、深い関わりがあった。尊敬する映画監督に亀井文夫、土本典昭、小川紳介の名前をあげている。

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

【レポート】野外上映企画:「ドキュ山フェス 劇場は星夜にて」

7月29日[日]に山形県郷土館「文翔館」の緑地スペースにて、山形国際ドキュメンタリー映画祭 2019 のプレイベント兼やまがた市民映画学校企画として「ドキュ山フェス 劇場は星夜にて」と題した野外上映会を開催しました! 今回の上映会も、映画祭の高校生ボランティアチームであるドキュ山ユースと一緒に企画立案を行い、上映作品選びも高校生たちが担当しました。

 

YIDFF 2019 プレイベント × やまがた市民映画学校:「ドキュ山フェス 劇場は星夜にて」

立つか!? 大型スクリーン!

今回ははじめての野外上映会ということで、できるだけ大きなスクリーンをと思い、400インチのものを用意しました。しかし、当日にいざセッティングという段になっても、前夜まで列島を駆け回った大型台風の影響による強い風がやみません。思い切って立ち上げてみましたが、スクリーン生地自体が風をはらみ、まるで船のマストのようで大人10人がかりでも支えるのが精いっぱいで、自立させることは到底できそうにありません。

 

ようやく立ち上がったスクリーン。まともに風をうけて、支えるのがやっと

何度か、風の状態を見ながらチャレンジしてはみたものの、用意した600Kg分のウエイトをもってしても倒れる危険性を払拭できませんでした。立てては寝かせ、立てては寝かせを繰り返しているうちに、イベント開始時間の午後5時が近づき、泣く泣く大型スクリーンを立てることは断念せざるを得ませんでした。

 

次の機会には必ず実現させたい大型スクリーンへの上映

「ドキュ山フェス」スタート!

天候に右往左往させられるのも、野外上映会の醍醐味。雨に見舞われなかったことがこそ幸いと気を取り直し、さあ「ドキュ山フェス」のスタートです。

 

ワークショップ参加者の皆さん。コマ撮りと国際理解、それぞれの組に分かれて受付

まずは、コマ撮り映像ワークショップと国際理解ワークショップの二本立て。大人から小さいお子さんまでご家族そろって楽しんでいただきました。コマ撮り映像ワークショップには、山形の冬の風物詩である樹氷をPRする大人気ゆるキャラじゅっきーくんが登場。参加してくれた子どもたちと一緒に、トリック撮影を駆使して映像で遊びました。

 

ストップモーションアニメで地球儀も宙に浮く

 

樹氷のじゅっきーくんといっしょ

 

文翔館議場ホールの暗闇を利用してピカピカ撮影

 

文翔館正面広場を縦横に使って屋外でも撮影

 

楽しく映像で遊ぶことができました。出来上がりが楽しみ

「じゅっきーくんと映画をつくろう」完成作品はこちらからご覧いただけます。

 

国際理解ワークショップは、国際協力NGOであるIVY(アイビー)のユース組織IVY youthの皆さんをファシリテーターに迎え、「世界がもし100人の村だったら」を行いました。参加者それぞれに分配されたビスケットをそれぞれの国の「富」に見立て、貧富の格差を体感。山形市内の高校生はもちろん、ガールスカウトの子どもたちも参加してくれて、こちらもとても賑やかなワークショップとなりました。

 

国際理解ワークショップ「世界がもし100人の村だったら」

 

「富」に見立てたビスケットをそれぞれの国と地域ごとに分配

 

IVY youthのみなさんによるファシリテーション

 

上映の前にカンボジアについての理解を深めるプレゼンテーション

アジアン屋台も出店! ワークショップを楽しんだ後はアジアンフードに舌つづみ

会場となった山形県郷土館「文翔館」の敷地内にキッチンカーを配置して、ワークショップ後、空が暗くなるまでのしばしの間、ちょうどお腹もすいてきたところでディナータイム。冷たいフォーやアジアンな味付けのスパイシー唐揚げなどをアジアン屋台ニコル食堂さんに提供していただきました。一時は長蛇の列ができるほどの盛況ぶりで、ご来場いただいた皆さん、舌の上でも異国の雰囲気を味わっていました。

 

アジアン屋台ニコル食堂さんのキッチンカー

いよいよ野外上映のはじまりです!

上映開始予定時間の午後7時を回り、あたりも薄暗くなってきたところで、ドキュ山ユースの司会進行で上映会がスタート。今回上映することになったカンボジア作品『どこに行く』について、その作品セレクションに込めた高校生たちの想いを、まずはみなさんにお伝えしました。急遽、少し小ぶりのスクリーンを設営してみましたが、大正時代の趣きを残す擬洋風建築の「文翔館」を背景にすると、レンガづくりの程良い雰囲気の中によく映えます。

 

『どこに行く』の作品紹介

 

程よく陽も落ち、雰囲気も上々

上映作品『どこに行く』

今回の上映作品は昨年の映画祭で上映されたカンボジア作品です。肌の黒い私生児として差別されて育った18歳の青年パティカ。自身のアイデンティティを求める心の旅路を柔らかな眼差しで描いた珠玉作です。主人公が18歳ということもあり、高校生が共感する部分が多く、ドキュメンタリー映画に馴染みがない人にとってもわかりやすく、心に響く作品ということで今回の上映作品に選ばれました。ドキュ山ユースのメンバーたちが街頭や各高校の校門でチラシ配りをしたり、友達などを誘ったりしてひと月ほどの間に集客につとめた結果、当日は20人以上の高校生たちが足を運んでくれました。その高校生たちが食い入るようにスクリーンを見つめる様子がとても印象的で、作品から何らかの感情を受け取ってくれたことは、上映後のアンケートに映画の感想をたくさん書き連ねてくれたことからもうかがえました。

 

『どこに行く』の一場面

ドキュ山ユースからコメントが届きました!

ドキュ山ユースのメンバーから、今回の野外上映企画をやってみての感想が届きました。

 

今回は初めて野外で上映会をしました。台風の影響で事前に準備していた大きなスクリーンを立てられなかったことが残念でしたが、野外で出来たことがとっても嬉しかったです。 会場には大人や子供、年齢関係なく様々な方がいらっしゃって、ドキュメンタリー映画を幅広い年代の方に知ってもらえて良かったと思っています。 野外上映会が今回限りというのは寂しいので、これからも続けていきたいと思っています!  ご来場いただいた皆さん本当にありがとうございました!

ドキュ山ユース 寒河江瑞希さん

 

自分は当日のみの参加でしたが、他のメンバーが準備してくれていたお陰で今回の上映会が成功できました。今回、私達が期待していた高校生は20人ほど来てくれてよかったです。映画は若い人の感性が極めて重要です。ドキュメンタリー映画を若い人に広めることは山形の映像芸術の発展に大いに寄与すると思います。そして、今回は私達若者自らの手でドキュメンタリー映画を広めることができたと思います。これからも上映会をしていきます。その時はまたお知らせしますね!

ドキュ山ユース 菊地大雅さん

 

ドキュ山ユース(前列)。IVY youthの皆さんと一緒に(後列)

 

今回のプレイベントで、これまで山形国際ドキュメンタリー映画祭に参加したことがなかった人たち、特に高校生以下の若者たちにも、その魅力や楽しみ方を伝えられたのではないでしょうか。来年の映画祭がさらに賑やかになることを願っています。これからもドキュ山ユースの活躍は続いていきますので、ぜひご期待ください。

 

(文責:山形映画祭事務局)

野外上映企画:ドキュ山フェス 「劇場は星夜にて」

ドキュ山フェス 「劇場は星夜にて」
山形ドキュメンタリー映画祭 2019 プレイベント × やまがた市民映画学校

高校生ボランティアチーム〈ドキュ山ユース〉による野外上映会が7月29日(日)、山形県郷土館「文翔館」敷地内にて開催されます!

 

【日時】7月29日(日)
17:00〜 ワークショップ(16:30受付開始)
①コマ撮りワークショップ じゅっきーくんと映画を作ろう
②国際理解ワークショップ 世界がもし100人の村だったら
*どちらか1つをお選びください

19:10〜 野外上映
上映作品:『どこに行く』
監督:ニアン・カヴィッチ/カンボジア、フランス/2012/Blu-ray/55分

【場所】山形県郷土館「文翔館」 県政史緑地(文翔館北側)
【入場】無料

私たちドキュ山ユースは今年の2月に初めて大きな上映会を開き、今回は第二弾となる上映会を行います! それもなんと屋内ではなく野外で!
ドキュ山ユースはこの日のために着々と準備を進めています。

 

まじめにミーティング中〜

<作品について>
今回の上映作品『どこに行く』はカンボジアの作品です。肌の黒い私生児として差別されて育った18歳の青年パティカ。自らのアイデンティティを求める心の旅路を柔らかな眼差しで描いた珠玉作です。

『どこに行く』の一場面

一人の少年に焦点を当てて撮っている作品なので私たち若者が共感する部分が多く、ドキュメンタリー映画に触れたことがない人でも分かりやすくて心に響く作品なのでこの作品を選びました。

<ワークショップも同時開催>
この映画にちなんで国際理解を深めるため、カンボジアをはじめとするアジア各国で教育支援活動に取り組むNPO「IVY」の協力のもと「世界がもし100人の村だったら」というワークショップも行います。『どこに行く』という作品をもっと深くご覧いただけると思います。
また、人気ゆるキャラ「じゅっきーくん」と一緒に映画の仕組みを学びながら、コマ撮りアニメーションをつくるワークショップも同時開催です。

 

毎日毎日物凄い暑さが続いていますが、平成最後の夏星空の下大きなスクリーンドキュメンタリー映画を観るという思い出を作ってみてはいかがでしょうか。

 

当日登場予定の巨大スクリーン(設置テストの様子)

 

山形市中心地のシンボル「文翔館」の芝生の上で、みなさまのご来場をお待ちしています!

文章:寒河江瑞希(ドキュ山ユース)
監修:山形映画祭事務局

7月27日の金曜上映会〈YIDFF 2017 アンコール7:インドネシア、家族のふうけい〉

7月27日[金]〈YIDFF 2017 アンコール7:インドネシア、家族のふうけい〉

2017年の山形映画祭で上映されたコンペ部門の作品から選りすぐりのものを上映する金曜上映会アンコールシリーズ第7弾! 今回は昨年のアジア千波万波上映作品の中から、マヌエル・アルベルト・マイア監督の『ノカス』と、2011のインターナショナル・コンペティション上映作品からレナード・レーテル・ヘルムリッヒ監督の『星空の下で』を上映します。

『ノカス』 14:00- 19:00-(2回上映)

『ノカス』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 アジア千波万波 上映作品

監督、撮影、録音:マヌエル・アルベルト・マイア/インドネシア/2016/76分

作品紹介:

西ティモール、クパン。畑仕事に精を出す青年ノカスは鶏を世話するチィと結婚することが決まっているが、一筋縄ではいかない家どうしの婚姻事情が、幸せ一杯のふたりの前に立ちはだかる。持参金や結婚式の形式など、両家の家長により取り決めがなされるなか、決まったものは仕方がないと腹を括ったノカスは、パワフルなシングルマザーの姉、対岸のスマウ島に住む母とその夫の親族を巻き込みながら、必要なお金を工面し結婚を実現しようと奔走する。

 

『ノカス』

 

監督のことば:

私が初めてノカスに会ったのは2013年の4月だった。私は当時、土地を失う危機に瀕したコルフアの農民の闘いを記録するという課題に取り組んでいるところだった。ノカスは自分の農場で休んでいた。彼の吸うタバコの煙に包まれながら、私たちは母国について語り、自分の土地に暮らすという、生まれながらの権利について語った。ノカスの地元では、巨大ダム建築のプロジェクトがあり、農民は立ち退きを迫られていた。ノカスは、立ち退きに抵抗する数千人のコルフア農民の一人だった。一説によると、ダムの建設には4600万ドル以上が費やされるという。

私がノカスに心を惹かれたのは、彼がまだ独身であると知ったときだ。クパンに暮らす独身の若い男性が、自分の土地で働くことを好むのは珍しい。たいていは地元のプールバーにたむろしたり、都会に働きに出たりしている。農民は政府のダム建設プロジェクトによって苦難に直面し、将来への希望を失った。ノカスの人生の選択に、私は大いに興味を持った。

この勤勉な若者と、彼を取り巻く困難な状況に興味を持った私は、きわめて複雑な彼の家庭生活も知ることとなる。この映画では、ティモールにおける結婚、家族、文化を語るなかで、ノカスが相手方から要求された持参金を用意しようと奮闘し、ついに愛する人と結婚できるまでの物語が作品の軸になっている。つまり、誤解を恐れずに言えば、『ノカス』は現代ティモールの生活を象徴する作品になっている。

この映画の制作に携わった3年間で、私はたくさんのことを学んだ。登場人物や彼らの文化から学んだだけではない。社会の様々な集団を苦しめる構造的貧困と闘うときに、映画は重要で強力なメディアになるということも学んだのだ。ノカスと彼の家族も映画が持つ力に気づき、長期間にわたる撮影に積極的に協力してくれた。プリプロダクションからポストプロダクション、さらには現在進行中の配給という段階に至るまで、映画を製作するすべての過程が、私にとってとても実りのある、学ぶところの多い体験だった。この旅に参加してくれた友人たちも、きっと同じように感じているだろう。

マヌエル・アルベルト・マイア

 

『ノカス』

 

『星空の下で』 15:40-(1回上映)

 

『星空の下で』

 

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2011 インターナショナル・コンペティション上映作品

監督:レナード・レーテル・ヘルムリッヒ/オランダ/2010/111分

作品紹介:

インドネシアの家族を12年間追い続けた3部作の完結編。両親を亡くし叔父一家と暮らす孫娘を訪ねて田舎から出てきた祖母を中心に、定職がなく闘魚に興ずる叔父とそれを嘆く妻との夫婦喧嘩、反抗期を迎えた孫娘の大学進学問題などがテンポよく映し出される。宗教間の衝突や貧富の格差、世代間の意識のずれを巧みに折り込みながら、家族を想う庶民の日常を、疾走するカメラワークでドラマチックかつユーモラスに捉えた。

監督のことば:

本作は、シネマ・ヴェリテやダイレクト・シネマの伝統に則った観察ドキュメンタリー映画である。この映画を含む3部作の中心となる人々ととても親しかったため、どんなドラマチックな状況においても、その展開を予測することができた。撮影中も、内側から家族を観察しながら、メインテーマに関わる重要な部分に焦点を当てた。3部作の他の作品同様、300時間を越えるフッテージを編集する中から、物語(ストーリー)は生まれた。

私はメインテーマである急激に変化するインドネシア社会を撮った部分から、最終的に最良のシーンを選び、論理的でありつつも詩的なシークエンスに編集した。詩は現実のように多層的だからである。映画もただこちらの一方的な解釈を押しつけるものではない。現実の出来事は映画で描かれているよりも遥かに長かったので、そのエッセンスを映画監督の個人的主観で抽出したまでである。

私は本作を前の2作品と同じ手法で撮影した。自ら考案した“シングル・ショット・シネマ”である。具体的に言えば、何かを撮影する際、カメラを大胆に動かしながら、すべてを1回の撮影で収めるのだ。私は目の前で起こっているドラマが最も良く映るポジションにカメラを向ける。中心となる人々を至近距離で追うため、何か事が起こっても、私はいつもその中心にいて、状況を内側の視点で撮ることができる。この手法を取ったのは、観察者は自らが観察しているものの一部であるとの自覚からである。

本作は、実際にカメラの目の前で起こった家族の日常生活のシーンを編集して作られた。そしてこの映画の語りを生み出したのは、常に真実を追い求め、発見するこの撮影方法である。

レナード・レーテル・ヘルムリッヒ

 

『星空の下で』

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

ドキュ山ユース・セレクション:家族写真

金曜上映会土曜出張版 × ドキュ山ユース
<ドキュ山ユース・セレクション:家族写真>

先月の〈8mmフィルム映画祭〉に続き、7月1回目の金曜上映会も土曜出張版での開催です。

<ドキュ山ユース・セレクション:家族写真>
日時:7月14日[土] 18:00(17:30開場)
会場:BOTA theater
(山形市七日町シネマ通り BOTA coffee 2階)
料金:ワンドリンク制(500円〜)

『家族写真』
監督:手塚義治、クリスティン・ロイドフィット/日本、イギリス/1989/16mm/60分/
YIDFF ’89 インターナショナル・コンペティション 奨励賞
http://www.yidff.jp/library/loans/loans89.html#f10
(日本語字幕つき)

上映作品『家族写真』は、日本人と西洋人との国際結婚をめぐるお話。およそ30年前に始まったドキュメンタリー映画祭、最初のコンペティション作品でもあります。

高校生たちがどうしてこの作品を選んだのか、興味深いですね。上映後にちょっとした感想交流会の時間がありますので、作品選定を担当したドキュ山ユースのメンバーや、まわりのお客さんたちと映画について気軽にお話ししてみてください。

なお当日は、会場のBOTA theater周辺では芸工大の学生さんたち主催の音楽イベント〈オトナルヤマガタ〉、そして〈シネマ通りマルシェ〉が開催されるようです。

オトナルヤマガタ’18
http://otonaru-yamagata.com/2018/message/

第三回シネマ通りマルシェ 2018
https://www.facebook.com/cinemastreetmarche/

映画と音楽、そして美味しい香りに包まれる土曜日のシネマ通りを、どうぞごゆっくりお楽しみください。

(文責:山形映画祭事務局)

【レポート】金曜上映会 土曜出張版〈8mmフィルム映画祭〉

6月30日[土]に山形まなび館にて金曜上映会土曜出張版として〈8mmフィルム映画祭〉を開催しました!

上映作品は「パーソナルフォーカス 東京 + 山形セレクション」

「パーソナルフォーカス」は映像作家松本俊夫の映像個展に衝撃を受けた若者たちが1977年に設立した映像作家/上映集団フィルム・メーカーズ・フィールド(FMF)が1978年にスタートさせた8mm映画の上映会です。その「パーソナルフォーカス」に、新作8mm映画上映会「サヴァイヴァル8」からセレクトされた東京と山形の出品作も加え、今回の上映では、総勢34人の映像作家による全37作品をオリジナルの8mmフィルムで回しました。

 

スクリーンや機材を持ち込んで8mm映画上映会にぴったりな会場に

会場は山形まなび館地下シアタールーム

会場となった山形まなび館地下交流ルーム7(通称シアタールーム)には、かつて昭和の時代から山形県民に親しまれた映画館、今はなきシネマ旭の椅子が据付けられています。そしてこの山形まなび館自体も、昭和2年に建設された旧山形市立第一小学校(国登録有形文化財)を改装したものですので、山形県下初という鉄筋コンクリート造校舎の歴史的な趣が随所に見え隠れします。地下のシアタールームは30席程度の小さな会場ですが、8mm映画という〝おもちゃ箱〟をひっくりかえすにはピッタリの空間でした。

当日は用意した座席が程よく満席になるくらいのお客さん方にいらしていただきました。金曜上映会のご常連さんから、東北芸術工科大学の学生さんなどお若い方々まで、幅広い年齢層のみなさんにご来場いただきました。

 

東北芸術工科大学映像学科教授の加藤到さんから簡単にこの企画の説明があった

8mm映画祭、はじまります

上映に先立ち、今回のプログラムに出品している東北芸術工科大学映像学科教授の加藤到さんから、簡単に上映作品の紹介がありました。観客のみなさんには、上映作品タイトルと作家名、作品紹介が記された資料をお渡ししました。説明もほどほどに早速に上映開始です。

 

「パーソナルフォーカス 東京+山形」より 黄木可也子『Good morning to you』

50フィート、3分間の魔法

持ち込んだスクリーンに、次から次へと多種多用な表現が現れては消え、現れては消え、時にじっと息を殺しながら食い入るように画面を見つめる観客のみなさんの気配が小さな空間に充満していました。ポエティックで哲学的、かと思えば愛嬌があったり、素直に「美しいなぁ」と感嘆させてくれたり、そして思わず声を上げて笑ってしまったりと、1作品約3分間の映像に詰まった表現の数々は、映画が光と影の集合体であることを改めて気づかせてくれる不思議で面白いものばかりでした。

フィルム尺50フィート、3分間が終わるごとに、次はどんな作品がスクリーンに映るのかとカタカタと映写機が回る音を聞くのも、この上映企画の醍醐味ですね。

 

上映後のトークの様子。右奥から黄木優寿さん、黄木可也子さん、加藤到さん、水由章さん

8mmフィルムは〝滅びゆくメディア〟?

途中に10分程度のトイレ休憩をはさんで全37作品を上映し終えた後、東京からわざわざこの上映のために駆けつけくださった映画作家の水由章さん、そしてこの上映会で映写を担当してくれた映像作家の黄木優寿さん、黄木可也子さん夫妻を交えて、今回の出品作家たちによるざっくばらんなトークを行いました。

8mm映画、個人映画をつくることの面白さやそこにある発見などなど、様々なお話が飛び出しました。なかでも印象的だったのは、加藤到さんが作った『滅びゆくメディアのために』という今回の上映作品についてのお話。制作した1986年当時に8mm映画は〝滅びゆくメディア〟だったにもかかわらず、それから30年以上経過しても尚、いまだに〝滅びゆくメディア〟として8mm映画が生き残っていることが驚きであり、それだけ根強く愛されているメディアだということでした。

また次回の8mm映画企画にご期待ください!

遊び心満載の8mm映画の〝おもちゃ箱〟をひっくり返したかのような上映会は、和やかで楽しいひとときとなりました。ご来場いただいたみなさん、また遠路はるばる駆けつけていただきました水由章さん、ありがとうございました。

 

文責:山形映画祭事務局

6月30日の金曜上映会 土曜出張版〈8mmフィルム映画祭〉

6月30日の金曜上映会 土曜出張版〈8mmフィルム映画祭〉

630日[]…〈8mmフィルム映画祭〉
[会場]山形まなび館【会場・曜日・時間注意】
16:30(各1回上映)
※第1部と第2部の間に休憩をはさみます

パーソナルフォーカス 東京+山形セレクション

第1部(18作品/約1時間)
第2部(19作品/約1時間)

上映作品 ※上映順とは異なります。
COOL HEART青井克己/1988
春光呪詛石川亮/2016
多摩川のほとりで猫と暮らしている内村茂太/2007
きよう遠藤奈緒/1995
無援の抒情小口容子/2010
大川戸洋介/1986
Good morning to you黄木可也子/2010
鏡川ぞいのガードレール大木裕之/1991
くもわたるふねひとつ黄木優寿/2014
2005 MARS / PARIS太田曜/2007
フジカブルー大西健児/2009
私も動かす帯谷有理/1994
子どものアリエッタ片山薫/1998-2008
滅びゆくメディアのために加藤到/1986
suginami-green川口肇/2007
家路櫻井篤史/1987
Last of Showa佐々木健/1991
5つのめくばせ新宅謙吾/2007
走れウサギ芹沢洋一郎/1991
川赤子徳永彩加/2016
おしまい駅戸屋幸子/2007
満月能登勝/2006
肉体実験通信袴田浩之/1993
あし早見紗也佳/2016
こわい森みたいな昼間行雄/2017(再現版)
ON A SHUTTER福間良夫/1982
夢のゆきて福間良夫/1978
走れ映郎福間良夫/1988
ガラスの42才福間良夫/1996
闘え! カンフーウルフ「ペンギン拳を倒せ !!」ホタルイカプロダクツ/1997
おしまい前田敏行/1996
Seraphita(セラフィータ)万城目純/1993
瞬息4水由章/2001
威風堂々宮田靖子/1998
カスバから村上賢司/1994
風の日曜ヤジマチサト士/2009
じょっぴん山崎幹夫/1988

※すべてオリジナルの8mmフィルムで上映します。

福岡市に拠点を置く映像作家/上映集団フィルム メーカーズ フィールドが1978年にスタートしたアンデパンダン展「パーソナルフォーカス」は、30年以上に渡って作品募集と全国巡回上映を続け、日本の個人映画作家にとって重要な発表の場となってきた。出品の条件は8mmフィルム、50フィート(約3分)であること。地下室で、個人映画のオモチャ箱をひっくり返してみよう。
パーソナルフォーカス主催:フィルム メーカーズ フィールド

 

[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

 

6月8日の金曜上映会〈月面着陸から(もうすぐ)半世紀〉

6月8日[金]〈月面着陸から(もうすぐ)半世紀〉

今回の金曜上映会では、戦後の占領政策、民主教育のための「ナトコ映画」に代わって日本に米国の情報を伝えてきた「USIS(米国広報文化交流局)フィルム」4本を上映して、当時の思いを紐解きます。人類初の月着陸を追体験できる貴重な機会です!

「USISフィルム」4作品 14:00- 19:00-(2回上映)

『科学時報 第103号』 1967/モノクロ/16mm/14分
『科学時報 第150号』 1969/モノクロ/16mm/14分
『科学時報特集号 高校生の宇宙研究』 1970/モノクロ/16mm/15分
『人間月に立つ』 1970/モノクロ/16mm/30分

 

『人間月に立つ』

 

1969年7月20日、米国のアポロ11号によって2人の宇宙飛行士が月に着陸し、人類にとって偉大な一歩を刻みました。それからもうすぐ半世紀が経とうとしていますが、月はどれほど近くなったのでしょうか。

USIS(United States Information Service)フィルムは、1953年、第二次世界大戦後の占領政策の一環として行われてきたCIE(Civil Information and Education)映画(通称ナトコ映画)に代わり、日米の情報、文化交流をはかる目的で作られました。これまでは山形市の東南村山地区視聴覚教育協議会の倉庫に上映されることなく保管されてきましたが、協議会解体にともない、ここにあった25本のUSISフィルムは当映画祭で管理を行なっている山形ドキュメンタリーフィルムライブラリーに移管されました。

 

『科学時報特集号 高校生の宇宙研究』

 

月の地図を作るための無人探査機や、火星探査機について紹介する『科学時報』シリーズ2本、高校生が、宇宙船滞在を模擬体験する『高校生の宇宙研究』。そして『人間月に立つ』にはニクソン大統領が登場し、米国の悲願であった人類初の月面着陸と無事の帰還が描かれます。

 

『科学時報 第103号』

 

今日では大変貴重になった作品群です。ぜひこの機会にお楽しみください。今後、金曜上映会では継続してこのほかのUSISも上映していく予定です。どうぞお見逃しなく。

 

『科学時報 第150号』

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

金曜上映会 土曜出張版〈8mmフィルム映画祭〉開催!

金曜上映会 土曜出張版 8mmフィルム映画祭を開催します!

 

金曜上映会 土曜出張版
〈8mmフィルム映画祭〉

日時:6月30日[土] 16:30(1回上映)
会場:山形まなび館 地下 交流ルーム7

「パーソナルフォーカス 東京+山形セレクション」
第1部(18作品/約1時間)
第2部(19作品/約1時間)
※第1部と第2部の間に休憩をはさみます

パーソナルフォーカス

映像作家松本俊夫の映像個展に衝撃を受けた若者たちが1977年に設立した映像作家/上映集団フィルム・メーカーズ・フィールド(FMF)は、福岡を拠点に、自作のみならず、国内外の映画作家たちの自主上映を数多く手がけてきました。FMFが1978年にスタートした、8ミリ映画のアンデパンダン展「パーソナルフォーカス」は、30年以上に渡って作品募集と全国巡回上映を続け、日本の個人映画作家にとって重要な発表の場であり続けました。出品の条件は8ミリフィルム、50フィート(1カートリッジ・約3分)であること。誰もが観客にも映像表現者にもなり得る映画祭です。山形国際ドキュメンタリー映画祭2007では「8mm映画の存続と未来」と題し、特集上映が行われています。
YIDFF 2007 「8mm映画の存続と未来」

 

黄木可也子『Good morning to you』 「パーソナルフォーカス 東京+山形セレクション」より

 

パーソナルフォーカスは、2009年に発表された、フジカシングル8(8ミリフィルム)の生産終了とともに「パーソナルフォーカス2009-2010」をもって終了しました(山形では西川町月山志津温泉の「雪旅篭の灯」開催期間中—もちろん真冬—に上映)が、FMFは、2013年のシングル8の「現像終了」に合わせて「GoodBy LAB」を開催。機材の入手や維持、フィルムの購入や現像がますます困難になる中、すべて新作の8ミリ映画上映会「サヴァイヴァル8」を2015年から2017年にかけて2回開催、全国巡回しました(共催:メタ・フィルム・マーヴェラス)。

 

川口肇『Suginami-green』 「パーソナルフォーカス 東京+山形セレクション」より

 

今回は、「パーソナルフォーカス」と「サヴァイヴァル8」の東京と山形からの出品作で、多彩な個人映画の歴史をふりかえります。天使の3分間、悪魔の3分間、理解の外の3分間…。

元小学校の地下室で、個人映画のオモチャ箱をひっくり返してみましょう。

 

 

福間良夫『ガラスの42才』 「パーソナルフォーカス 東京+山形セレクション」より

 

上映作品一覧    ※上映順とは異なります

COOL HEART青井克己/1988
春光呪詛石川亮/2016
多摩川のほとりで猫と暮らしている内村茂太/2007
きよう遠藤奈緒/1995
無援の抒情小口容子/2010
大川戸洋介/1986
Good morning to you黄木可也子/2010
鏡川ぞいのガードレール大木裕之/1991
くもわたるふねひとつ黄木優寿/2014
2005 MARS / PARIS太田曜/2007
フジカブルー大西健児/2009
私も動かす帯谷有理/1994
子どものアリエッタ片山薫/1998-2008
滅びゆくメディアのために加藤到/1986
suginami-green川口肇/2007
家路櫻井篤史/1987
Last of Showa佐々木健/1991
5つのめくばせ新宅謙吾/2007
走れウサギ芹沢洋一郎/1991
川赤子徳永彩加/2016
おしまい駅戸屋幸子/2007
満月能登勝/2006
肉体実験通信袴田浩之/1993
あし早見紗也佳/2016
こわい森みたいな昼間行雄/2017(再現版)
ON A SHUTTER福間良夫/1982
夢のゆきて福間良夫/1978
走れ映郎福間良夫/1988
ガラスの42才福間良夫/1996
闘え! カンフーウルフ「ペンギン拳を倒せ !!」ホタルイカプロダクツ/1997
おしまい前田敏行/1996
Seraphita(セラフィータ)万城目純/1993
瞬息4水由章/2001
威風堂々宮田靖子/1998
カスバから村上賢司/1994
風の日曜ヤジマチサト士/2009
じょっぴん山崎幹夫/1988

※すべてオリジナルの8mmフィルムで上映します。

[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[パーソナルフォーカス主催]フィルム・メーカーズ・フィールド
[金曜上映会主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

 

(文責:山形映画祭事務局)

中学生が映画祭事務局のお仕事を体験!

山形市立第三中学校の生徒さん2名が、映画祭事務局に職場体験に来てくれました!

5月15ー17日の3日間の日程で、資料整理などの事務作業、フィルムの映写、映画のチラシ作りなどなど、映画祭事務局のさまざまな業務を体験。

 

フィルムライブラリー見学

2日目には、試写室とアーカイブ施設を兼ねた「山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー」でも実習を行いました。

フィルムの重みを体感
静止画の連続であるフィルムが「映画」になる仕組みを学ぶ

映写体験では、想像以上に大きく複雑な35mmフィルム映写機を前に緊張していたようでしたが、タイミングを合わせてレバー引いてスクリーンに映像が映ると、思わず笑みがこぼれます。

スクリーンにはどんな画が写っているのでしょうか?

 

チラシ作り

さて、3日間の仕上げとして、初日に鑑賞していた『世界一と言われた映画館 酒田グリーン・ハウス証言集』のチラシを作りました。

どのような情報が必要か、どうすれば多くの人に手にとって見てもらえるか、などなど考えながら、自分たちでデザインし、キャッチコピーを考えます。

そしてできあがったチラシがこちら! 2日目から作業を始めたとはいえ、ほんの数時間で作ってくれたとは考えらないクオリティです。

カーテンがゴージャス。キャッチコピーもナイスですね!
完成したチラシを持って記念撮影

3日間ほんとうにお疲れ様でした!
また上映会や映画祭でお会いできること、事務局一同楽しみにしています! またいつでも遊びに来てね。

(文責:山形映画祭事務局)

 

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