みどころ

開催地にして発信地である創造都市〈山形〉を多様な視点で検証する「やまがたと映画」。
本映画祭第一回開催の奮闘を記録した映画『映画の都』と、転換期を追う『映画の都 ふたたび』を通じて30年の歴史をふりかえります。2000年に山形でおこなわれた舞踏家・大野一雄の舞踏映像の初上映や、川口隆夫による、大野一雄にインスパイアーされたダンスパフォーマンス「大野一雄について」も予定。そのほか、新庄にあった日本唯一の雪害研究所を映像と証言で探る『雪国』上映とトークのほか、映画祭参加者が持ち寄る8ミリフィルムを楽しむ「ホームムービーの日」、県教育センター秘蔵の16ミリフィルム上映や、県内映画館に関する貴重な資料展示、伝承文化の映像上映などがあります。15日(火)には、山形まなび館にて「YIDFF30年:これまで、そして、これから」というトークセッションも急遽開催が決定しました(入場無料)。スタッフと観客、そしてゲストがともに育ててきた映画祭の歩み続ける原動力を知っていただける良い機会になるかと思います。是非ご参加ください。

東北芸術工科大学、科学研究費プロジェクト
Tohoku University of Art and Design,
Grants-in-Aid for Scientific Research Project

『O氏の肖像』Portrait of Mr. O

監督:長野千秋/日本/1969/65分

横浜市保土ヶ谷の大野一雄の自宅周辺、稽古場、当時勤務していた学校のボイラー室などで撮影された。「生活が踊りの先生」と言っていた大野の「生活」が舞台となっている。音楽も大野自身が演奏している。

『O氏の曼荼羅 遊行夢華』Mandala of Mr. O

監督:長野千秋/日本/1971/122分

自身の稽古場のほか、迦葉山(群馬)、猿島(神奈川)などで撮影した。加藤啓、なかむらもりつな、小野寺あつこら弟子たちが共演。第一作の「肖像」を描く視点から、本作ではより内面世界を探ろうとしている。

『O氏の死者の書』Mr. O’s Book of the Dead

監督:長野千秋/日本/1973/88分

長野氏によると、「肖像」から「曼陀羅」に向かい、O氏シリーズの終わりと甦りを込めて「死者の書」を制作したという。高井富子、上杉満代(貢代)ら大野一雄舞踏研究所研究生が総出演。大野一雄の故郷・北海道でロケを敢行。

YIDFF30年:これまで、そして、これから
YIDFF Thirty Years: Our Past and Our Future

『映画の都』A Movie Capital

監督:飯塚俊男/日本/1991/99分

1989年、アジアで初めてのドキュメンタリー専門の国際映画祭の誕生をなんとか記録に残したいというボランティアグループ、YIDFFネットワークの熱意から生まれた第一作。撮影から初期編集段階までは、YIDFFネットワークの活動の記録に主眼を置いていたが、最終的には編集権が飯塚俊男監督から小川紳介に渡っていく。そんな矛盾を抱えた本作だが、天安門事件、ベルリンの壁の崩壊など、世界の歴史が大きく動いた時代の空気を、確実に記録にとどめている。

『映画の都 ふたたび』A Movie Capital Again

監督、編集、製作:飯塚俊男/日本/2007/90分

『映画の都』から16年、当時の未使用フィルムを使って1989年版の再構成映画の制作を模索する飯塚俊男監督が遭遇したのは、本映画祭始まって以来の大転換期だった。民間NPOへの独立をめぐって賛否両論飛び交う中、カメラは回り始める。

映像で見つめるYAMAGATA
Yamagata Through Images

『雪国』Snow Country

監督:石本統吉/日本/1939/38分

新庄に雪調が設置されて6年後に公開された本作は、豪雪に降り込められて生きる人々のありさまを細やかに伝え切って、観る者に驚き与え、生きるという営みへの深い感慨をもたらす。大村英之助、石本統吉らの芸術映画社によって、足かけ3年の長期撮影を経て完成し、日本のドキュメンタリー映画の原点とも言われる傑作。「雪調」の存在の必要性を裏付けるに十分な、力感溢れる一級の映像的資料でもある。

『最上川のうた─茂吉─』Mogamigawa no uta: Mokichi

監督、構成:松岡新也/日本/制作年不明/46分

斎藤茂吉の歌をたて糸に、最上川の自然をよこ糸に、その流域の歴史、文化、産業を描く文部省特選映画。

『若い力』Wakai chikara

日本/制作年不明/16分

農村の青年が新しい農業を目指し、意欲と技術の向上を目指す姿を描く。

『やまがた 水とくらし』Yamagata: Mizu to kurashi

日本/1979/28分

恵まれた自然をいつまでも保ち続けるために、いま何をすべきか考えながら、水と私たちのくらしの関わり、水の大切さについて理解を深める、山形県教育センター制作作品。

『世界一と言われた映画館』■バリアフリー上映
The World’s “Top” Theater ■ Handicapped-Accessible Screening

監督、構成、撮影:佐藤広一/日本/2017/67分

「西の堺、東の酒田」と称される商人の町・酒田市には、“世界一デラックス”と言われた映画館「グリーン・ハウス」があった。1976年、 酒田大火の火元となったグリーン・ハウスは、人々の記憶から半ば抹消されてしまう。そして今、40年の沈黙を経て語られる、かつて映画館を愛した人たちによる貴重な証言集。