高校生・大学生による映画祭ボランティア「ドキュ山ユース」始動しました!

地元の高校生、大学生にもっとこの映画祭を楽しんでもらいたいと考え、新たに「ドキュ山ユース」というボランティアチームを立ち上げました。呼びかけに集まってくれた有志のみなさんと映画祭でのボランティアはもちろん、企画運営のサポートや自主上映会の開催などを一緒に行なっていく予定です。

8月12日に、この「ドキュ山ユース」の最初の企画として「国際映画祭の作り方ワークショップ」を行いました。この日は山形県内各所から9人の学生・生徒さんたちが集ってくれました。

まずは「映画を観ること」について。ファシリテーター役は『東北記録映画三部作』で知られる映画監督の酒井耕さんが担当しました。

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2003 の特別賞・市民賞受賞作品『純粋なるもの』を観賞後、作品を観て感じたこと、疑問に思ったこと、面白かった、つまらなかった、様々な意見を自由に発言する場を設けました。作品の中で描かれる、家族で聖なる浄めの儀式に出席する様子や、男性社会における女性の葛藤など、ユダヤ教の二千年来の戒律の中で生きる女性たちの声や表情、静謐な水のイメージから呼び起こされる様々な感情を共有し合う中で、次から次へと言葉が飛び出します。

宗教観や信仰などによって変わる社会の中での「女性」の存在、繊細かつ痛々しい現実に対して、監督をはじめとする作り手は何を観る者に伝えたかったのか。そのような話が展開する一方で、ノーナレーション、ノンテロップの極力説明を排した映像に「なにかを問いかけられている気がした」という声も発せられ、映画作品の「作り方」「見せ方」にも話がおよびました。

その後、休憩をはさんで、いよいよ「山形国際ドキュメンタリー映画祭」について語り合いました。

キーワードを「山形」と「国際」と「ドキュメンタリー映画(祭)」に分け、この3つのうちで自分が興味のある事柄を選択。3つの班でそれぞれに関連する言葉を自由に連結しながら、発想することの面白さや意見を交換、共有することを体感していきます。

「山形の人はいいところを自慢するのが下手」「海外の人とコミュニケーションをすることで、自分の思考が広がる」「ドキュメンタリーは真実を映しているもの? フィクションとの違いは?」などなど、各班とも対話は途切れません。「映画監督って儲かるの?」なんて疑問も飛び出したりして、しかしそんな疑問からドキュメンタリー映画が撮られていることの大切さ、という漠然とした話にも飛躍していきました。

最後は各班ごとに話した内容の発表を行い、それらを総合して、「山形」で「国際」的な「ドキュメンタリー映画」祭をやることにどのような意味があるのか、あるいはそんな意味などどこにもないのか。この映画祭を知らない人に、その面白さをどのように伝えていけばいいのか、などなど。どんな意見も尊重する、結論のない自由な対話を繰り広げました。

「はっ」とさせられる根本的な疑問や、思いも寄らない発想の数々に、私たち大人が様々なことを学ばされる機会になりました。この日来てくれた学生・生徒さんたちには、10月の映画祭で、会場係や司会進行、ゲストサポーターなどのそれぞれのセクションで活躍してもらいます。世界中から集う映画と人に出会い、日常生活ではなかなか体験できない、たくさんの交流を楽しんでもらえたらと思います。

次の世代へ向けた実りある山形国際ドキュメンタリー映画祭になるよう、より多くの高校生・大学生たちの参加を願っております。

 

(文責:山形映画祭事務局)